任用資格
任用資格とは、公務員などの採用試験に合格し、かつ専門職として配置されて生かされる資格です。福祉医療関係の施設への就職に際し、資格要件として求められる場合もあります。
下記に記載の2つ以外の任用資格取得者は、卒業後証明書がなくても任用資格取得の旨を履歴書に記載ができますが、希望すれば大学から「任用資格取得証明書」を発行します。
1 社会福祉主事任用資格
社会福祉主事は、都道府県、市町村の福祉事務所などに配置され、生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成または更生の措置に関する事務を行います(社会福祉法第18?19条)。社会福祉施設の「生活指導員」の応募に際して、任用資格を取得していることが条件の場合もあります。
社会福祉学科の方は、卒業すれば必ず下表の1〜18の枠のなかから3科目以上の単位修得をしていますので、社会福祉主事任用資格が取得できます。
社会福祉主事任用資格に関する指定科目
横にスクロールすると全体が表示されます。
枠 | 本学の科目名 | 配当年次 | 科目単位 | 本学での履修方法 |
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1 | 社会福祉原論(職業指導を含む) | 2年以上 | 4 | 1〜18の枠別に3科目以上履修のこと (社会福祉技術論A?B、および高齢者福祉論と介護概論については2科目を履修して1科目と計算する。) |
2 | 社会福祉援助技術総論 | 2年以上 | 2 | |
社会福祉援助技論A | 2年以上 | 2 | ||
社会福祉援助技論B | 2年以上 | 2 | ||
3 | 福祉経営論 | 3年以上 | 2 | |
4 | 福祉行財政と福祉計画 | 3年以上 | 2 | |
5 | 社会保証論 | 3年以上 | 4 | |
6 | 公的扶助論 | 3年以上 | 2 | |
7 | 児童?家庭福祉論 | 1年以上 | 4 | |
8 | 障害者福祉論 | 1年以上 | 4 | |
9 | 知的障害者福祉論 | 2年以上 | 2 | |
10 | 精神保健学 | 2年以上 | 4 | |
精神医学 | 2年以上 | 4 | ||
11 | 高齢者福祉論 | 1年以上 | 2 | |
介護概論 | 1年以上 | 2 | ||
12 | 地域福祉論 | 2年以上 | 4 | |
13 | 福祉法学 | 2年以上 | 2 | |
14 | 福祉心理学 | 1年以上 | 2 | |
心理学概論 | 1年以上 | 4 | ||
15 | 福祉社会学 | 1年以上 | 4 | |
16 | 公衆衛生学 | 2年以上 | 4 | |
17 | 医学一般 | 2年以上 | 2 | |
保健医療サービス論 | 3年以上 | 2 | ||
18 | リハビリテーション論 | 2年以上 | 2 |
福祉心理学科の方は、前ページの表の1〜18の枠のなかから3つの枠を選んで3科目以上単位修得したうえで卒業すれば取得できます。枠14の「福祉心理学」「心理学概論」は福祉心理学科卒業の必修科目ですから、残り2枠を選んで2科目を履修すればよいことになります(たとえば「福祉社会学」「福祉法学」「児童?家庭福祉論」「高齢者福祉論?介護概論(2科目セットで1科目扱い)」「社会福祉原論」「リハビリテーション論」などのなかから2科目)。
2 児童指導員任用資格
児童指導員は、児童養護施設、知的障害児施設、肢体不自由児施設などに配置され、児童の生活指導を行います(児童福祉施設最低基準第42?43?49?56?61?69?73?75条)。社会福祉学科?福祉心理学科の方とも、卒業すれば取得できます。
3 知的障害者福祉司任用資格
知的障害者福祉司は、都道府県、市町村の福祉事務所や知的障害者更生相談所に配置され、知的障害者の福祉に関する事務を行います(知的障害者福祉法第13条)。社会福祉学科?福祉心理学科の方とも、卒業すれば取得できます。
4 心理判定員?児童心理司任用資格
心理判定とは、児童相談所や精神科の病院などで、主に心理検査や面接を実施し、診断や治療効果測定のための資料を提供する仕事です。明確な資格の規定はありませんが、大学において心理学を専攻して卒業した者が心理判定の仕事ができることになっています。具体的には、来談者(クライエント)について、知能検査、人格検査などを行ったり、さらに面接や行動観察を行ったりすることによって、判定会議などへの資料を提供することです。判定会議に出席して意見を述べるだけでなく、時には医師や児童福祉司、ソーシャルワーカーなどとチームを組んで心理治療に当たることもあります。
このような心理判定をする者が必要とされる主な職場には、児童相談所、精神保健福祉センター、婦人相談所、知的障害者更生相談所、身体障害者更生相談所、各種福祉施設、病院(精神科?神経科)などがあります。
なお、2015年度以降、児童相談所で働く「心理判定員」の名称が「児童心理司」に変更されています(「児童相談所運営指針」)。「学校教育法に基づく大学において、心理学を専修する学科を修めて卒業した者」が任用資格を有することに変更はありません(「児童福祉法」第12条の32、「身体障害者更生相談所の設置及び運営について」など)。
心理判定員?児童心理司任用資格は、福祉心理学科を卒業すれば取得できます。なお、福祉心理学科卒業者で希望のある方には、「任用資格取得証明書」という名称で「心理判定員」および上記1〜3のうち取得できた任用資格を証明する書類が発行可能です。
5 本学では証明書を発行できない任用資格
児童福祉司任用資格
児童福祉司は、児童相談所に配置され、児童の保護その他児童の福祉に関する事項について、相談に応じ、必要な指導等を行います(児童福祉法第13条)。
児童福祉司任用資格は、2004年11月の「児童福祉法」の改正により、大学において心理学、教育学、もしくは社会福祉学を修めて卒業した者という条件だけでなく、その後1年以上児童その他の者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う業務に従事した者という条件も追加されました。
卒業後1年の実務経験を有するかについては任用する都道府県?市町村などで判断すべき事項ですので、本学で児童福祉司任用資格を有しているという証明書の発行はいたしません。
なお、「社会福祉士?精神保健福祉士の国家試験合格者」は実務経験がなくても任用資格を有します(児童福祉法第13条?児童福祉法施行規則第6条)。
精神保健福祉相談員任用資格
精神保健福祉相談員は、都道府県、市町村の精神保健福祉センターや保健所などに配置され、精神保健福祉に関する相談に応じたり、精神障害者やその家族等を訪問して必要な指導を行います(精神保健福祉法第48条)。
精神保健福祉相談員任用資格取得の条件の1つとして、「大学で社会福祉に関する科目または心理学の課程を修めて卒業した者であって、精神保健、精神障害者の福祉に関する知識および経験を有する者」と定められています。「大学で社会福祉に関する科目または心理学の課程を修めて卒業した者」という条件は社会福祉学科?福祉心理学科を卒業した方ならば満たしますが、「精神保健、精神障害者の福祉に関する知識および経験を有する者」という条件は任用する都道府県、市町村などで判断すべき事項ですので、本学で精神保健福祉相談員任用資格を有しているという証明書の発行はいたしません。
なお、「精神保健福祉士」は「精神保健福祉相談員任用資格」を有しています。