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VOL.10 JUNE 2003

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[OB MESSAGE] 夢をあきらめない!

みどりヶ丘病院 医療福祉課 課長
みどりヶ丘介護老人保健施設 事務長代理

益井 彩

未知の土地東北

 昭和62年4月。南国で育った私は,未知の世界東北へとやってきました。お米を買うのに店番のおばあちゃんの言葉がわからず困ったこと。夏でも夜になると半袖では歩けなかったこと。冬は大学までのわずか5分の道程を,はるか遠い国に行くような気分で通ったことなどが今では,とても懐かしい思い出です。

医療ソーシャルワーカーにならない?!

 平成2年6月。1カ月の病院実習を終えて大学に戻った私が出した答えは,「医療ソーシャルワーカーになんかならない!」でした。
 今にして思えば,なんて生意気なことを言っていたのだろうと思いますが,その時に,ある病院の医療ソーシャルワーカー(以下MSW)の方から,「嫌だと思ったMSWというはっきりとしたものがあるのなら,絶対に君はMSWになるべきです。自分からMSWになることを拒否しても君の中でこれがMSWだという答えは一生でないのではないですか? それで満足ですか?」と言われました。この言葉がなければ,私は現在もMSWを続けていない気がします。

変化し続ける業務内容

 平成3年4月。晴れてベッド数329床の一般急性期病院「医療法人祐生会 みどりヶ丘病院」にMSWとして勤務しはじめました。丸12年を終えました。
 この12年の間に,医療や福祉の情勢は大きく変化してきました??(1)長期入院是正,(2)介護保険制度スタート,(3)診療報酬の大幅な改定などです。
 法人全体も新規事業を立ち上げて大きくなっていきました。(1)病院は急性期医療から慢性期医療へ(療養型病床への転換。回復期リハビリテーション病棟への転換),(2)介護老人保健施設の開設,(3)ケアハウスの開設,(4)居宅サービス事業への参入,(5)グループホームの開設,(6)特別養護老人ホームの開設です。
 それと同時にMSWに求められる業務内容も変化してきました。(1)平均在院日数の短縮,(2)早期転医先の援助,(3)介護支援専門員(ケアマネジャー)としての仕事,(4)新規事業の立ち上げなどなどです。

患者様の立場に立てるのか?

 目まぐるしく変わる医療?福祉情勢のなかで,在院日数をいかに短縮するかを求められ,患者様に向き合ってゆっくりとケースワークを行なうことがなかなか難しい状況もありました。脳外科の患者様,入院が長期化する方や重度の障害が残る方など,治療が終了し,心理的にも落ち着いて今後の生活について患者様や御家族様が,考え始めるための時間を待てないこともありました。迫ってくる入院期間の期限,戸惑いを隠せない御家族様の声??何ができるのか?
 ひとりでできることは限られていますが,チームでかかわることで変化がみられました。脳外科の医師を中心に早期からチームアプローチを行なうことや,情報を共有することで,より良いケースワークを行なうことができました。

これから

 13年前「MSWになんかならない」と生意気なことを言っていた私ですが,今,自分が魅力のあるMSWになれているのか? その答えはまだまだわかりません。
 これから,MSWやソーシャルワーカーを目指そうとする皆様にお話しできることは,「つらいことや苦しいことがあるのはあたりまえで,それを乗り越える努力をできるか?」ということです。1年や2年で答えは出ないでしょう。私も,今までたくさんの失敗もしました。今もですが……。辞めてしまおうと思ったこともありました。ですがここまで続けてこられたのは,夢を持ち続けていたからだと思います??「もっとこんなふうにしたい! こんな病院になればいいな!」という夢を。そしてそれを一緒に夢見て頑張ることのできる,一緒に考えることのできる仲間に出会えたからだと思います。
 「MSWという者が何者なのか」,理解してもらえないこともありました。「MSWは未収回収係であって,少し制度を知っている医事課の職員がいればできる仕事だ」と言われたこともありました。医師や看護師,リハビリスタッフと方向性の違いで真剣に討論したこともありました。そんななかで,MSWを理解してもらい,夢を追いかける仲間を得て,まだまだこの仕事の魅力にとりつかれています。
 だから,皆さんも夢を見続けてください。やりたいことを探し続けてください。より良いサービスを提供できる人であるために! そして,自分らしさを失わず,輝き続けることのできる人でいるために!

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