*With TOP > VOL.18 APRIL 2004 > 
* *

VOL.18 APRIL 2004

【巻頭のことば】

【学習サポート】

【現場から現場へ】

【夏期スクーリングIのご案内】

【通信制大学院コーナー】

【お知らせ】

【資格?免許状取得のために】

【BOOK GUIDE】

【シリーズ?東北】

【ひろば】

* * * *

【通信制大学院コーナー】

平成15年度通信制大学院修了者からのメッセージ

何のための研究なのか 誰のための研究なのか

福祉心理学専攻 高山 美津江

 私は22年前からプロドライバーとして一筋に生きてきたので,心理学と長距離ドライバーに関連する問題はないだろうかと考え,2001年の大学の卒業研究では長距離ドライバーの業務に関する“あともうちょっと運転”について初めて調査を実施しました。
 これは,昔からよく耳にする「目的地まで,あるいは家まで,あともうちょっとで到着するというところで事故をする」というもので,私たち長距離ドライバーも,目的地が近いと察すると,“あともうちょっとで目的地だから疲れたけど,眠いけどがんばって走りきってしまおう”と無理をしてしまう傾向があります。
 昨今,長距離ドライバーによる重大事故が多発しており,マスコミにも取り上げられることが多くなりましたが,このような事故の中には,単に居眠り運転として片付けられない事故も含まれているのではないかと思います。
 大学院では,交通と心理学に詳しい小松先生との運命的な出会いがあって,卒業研究の発展研究をすることとなりました。
 2001年には,中央自動車道上り線愛知県内津峠パーキングエリアで行い成功しました。今回は東北自動車道上り線埼玉県羽生パーキングエリアにおいて東北道についての調査を行いました。
 この調査は高速道路での調査なので,日本道路公団の許可と警察の許可の両方が必要で,許可をいただくために何回も足を運び,調査の必要性を理解していただき,その上で道路使用許可証をいただきました。
 また,深夜から明け方にかけて連続して100台以上の中型大型トラックドライバーの調査を行う必要があり,調査を実施するにはひとりでは不可能なため,協力してくださる方を探すことに苦労しました。そして調査としてはかなり大がかりなものとなりました。
 調査は質問紙法を用いましたが,長距離のドライバーの多くはパーキングに睡眠を取るために入ってきています。しかも,荷物を届ける指定到着時間が迫っているので,余計な時間はありません。このようなドライバーの条件を考慮して,質問紙はできるだけわかりやすく,文字は大きく,答えやすく,悩まず,短時間で終えられるよう工夫をしました。
 そのようななか,多くのドライバーが調査に関心をもってくださり,積極的なご協力をいただきました。さらに,私たち調査者を励ましてくださったり,食料の差し入れまでしてくださったドライバーも多く,そのような中でこの調査を無事終えることができました。
 本当に大変な調査でしたが,天候に恵まれ,事故による渋滞や通行止めもなく,運に恵まれた調査でもありました。
 全国の長距離トラックドライバーをはじめ,調査の趣旨に賛同してくださった多くの方々のお陰であります。
 研究テーマは身近なところにあるものです。私の場合には日々の仕事の中で気づいた法則性から出発しました。数年前,確か外国の研究で「トイレ掃除を毎日続けると達成感がもてる」という報告があったと思いますが,私の研究もそれに近いものだと思います。
 “オリジナリティと人間性”を私のモットーとしていますが,私の身勝手な解釈では,オリジナリティはあるがままの姿でよいということだと思います。人間性については生涯を通した課題であると受け止めています。自分なりの課題と目標にしたがって,研究成果が,物流の第一線で働く一人ひとりのドライバーに還元され,事故防止に役立つことが私の最終目標です。
 最後に,私をここまで導いてくださいました大学院の先生方と事務局スタッフの皆様,そして通信制第1期生院生の方々に感謝の気持ちを表します。ありがとうございました。

1つ前のページへ*このページの先頭へ

*
*
(C) Copyright 2002 Tohoku Fukushi University. all rights reserved.
*