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【現場から現場へ】

[OB MESSAGE] ソーシャルワーカー脚光の時代到来

社会福祉法人恩賜財団済生会
特別養護老人ホーム愛日荘 荘長補佐

峯田 幸悦
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●愛日荘での体験

 昭和55年3月東北福祉大学を卒業,山形市内で第1号,山形県内で第8番目の特別養護老人ホーム愛日荘に生活指導員として勤務し,現在荘長補佐兼主任生活相談員として仕事をさせていただいています。同じ施設に23年間勤務しているため,だいぶ感覚が鈍くなってしまったようです。一緒に勤務した職員は,私以外では,主任看護師1名だけとなり,その他は,退職したり,山形県済生会の他施設に転勤したりと,全く入れ替わっての職員体制で愛日荘が運営されています。
 愛日荘は,昭和55年4月に50床で開設。翌年30床増床し現在80床。昭和56年には短期入所事業として7床,その後,平成5年に8床増床し現在15床。同じく平成5年にデイサービスセンターB型,在宅介護支援センター,ホームヘルプサービス事業の開設を行い,在宅機能を併設した愛日荘と機能拡大が行われました。
 また,平成12年4月の介護保険施行により,居宅介護支援事業所も併設し介護支援専門員3名を配置し,職員も現在80名程度となり,大所帯となってきました。
 ご存知のとおり,特別養護老人ホームは,生活の場でありながら,療養の場でもあります。昭和38年の老人福祉法の制定当時,ナーシングホームとして設立し,看護師を勤務させる構想であったが,寮母の配置をおこなった経過があります。今,障害を持ちながら,生活を行う施設として,全室個室?ユニットケアの時代となってきました。残念ながら,愛日荘は,4人部屋を中心とした施設で,利用者の皆様にご不便をかけておりますが,なんとか利用者自立が可能なようにするために,ハード面の改修?改善を繰り返し,現在まで来ています。
 建物は,お金で解決できます。しかし,優秀なソーシャルワーカーを育成することは容易ではありません。

●頼りになる職種は

 介護を必要となった場合,どこで暮らしたいかという質問に,現在は自宅でとの答えが多いだろう。しかし,10年後は,特別養護老人ホームやグループホーム,ケアハウス等の施設で,病気療養をしながらも普通の暮らしをしたいと考えている方が多くなります。ただし,意思の確認ができなくなった場合は,成年後見制度を活用し,本人の意思を代弁し,自立支援を支えてほしいとなるでしょう。
 そこで,今後一番必要になる職種は何か。それは,生活を支援しサポートする,ソーシャルワーカーではないだろうか。ソーシャルワーカーは,社会福祉士等の資格所持者を指していると考えられるが,今まで,特別養護老人ホームの施設の中では,生活相談員がその仕事を担ってきたが,利用者の視点に立った仕事を本当に実践してきたかは疑問であります。
 今後,その人の生活の保障を行うためにも,心理?社会的な関係を理解し,人権や権利,尊厳を代行してくれる人材が要求されてきます。
 現在愛日荘でも,対等な契約のもとご利用いただいているが,成年後見制度の利用促進が必要になってくる方が今後多くなってきます。現在の利用者の希望を実現するために,介護計画(ケアプラン)に盛り込み,利用実現に向け,チームで対応が必要でありますし,今後は,それだけでは,満足できないでしょう。 
 新型特養は,全室個室で,ユニットケアとした体制が基本になるため,これを実現するために愛日荘は,建て替えを実施するしか方法がありません。そのため,法人としても現在研究中であります。自分が入所してもいい施設建設のために,何が必要かとなれば,優秀なソーシャルワーカーがほしいとなります。どんな職種より頼りにされる時代が今到来してきましたし,将来にわたってもっともっと脚光を浴びてくることは間違いありません。

●国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)のソーシャルワークの定義

【定義】
 ソーシャルワーク専門職は,人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して,社会の変革を進め,人間関係における問題解決を図り,人びとのエンパワーメントと解放を促していく。
 ソーシャルワークは,人間の行動と社会システムに関する理論を利用して,人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原理は,ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。

【価値】
 ソーシャルワークは,人道主義と民主主義の理想から生まれ育ってきたのであって,その職業上の価値は,すべての人間が平等であること,価値ある存在であること,そして,尊厳を有していることを認めて,これを尊重することに基盤を置いている。ソーシャルワーク実践は,1世紀余り前のその起源以来,人間のニーズを充足し,人間の潜在能力を開発することに焦点を置いてきた。人権と社会正義は,ソーシャルワークの活動に対し,これを動機づけ,正当化する根拠を与える。ソーシャルワーク専門職は,不利益を被っている人びとと連帯して,貧困を軽減することに努め,また,傷つきやすく抑圧されている人びとを解放して社会的包含(ソーシャル?インクルージョン)を促進するよう努力する。ソーシャルワークの諸価値は,この専門職の,各国別並びに国際的な倫理綱領として具体的に表現されている。

 以上の定義と価値を熟読して下さい。きっと,これからの方向が見えてきます。
 今後頼りになるソーシャルワーカーとしてひとりでも多くの方に活躍していただきたいと思います。そのためにも,東北福祉大学通信教育部で学ぶ機会を大切にし,一緒に力を合わせて努力し,勉強していきましょう。何も役に立つことがありませんが,困った時は,愛日荘 峯田に電話してください。

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