学長室の窓

学長コラム:幸福

コラム No.9

ふさわしい場所に住み、過去には善業を積み来たって、
未来には正しき誓願を抱く──これが最上の幸福である。

『スッタニパータ』第260偈

誠にめでたいことがあった。学園創立150周年を迎えたこの春、東北福祉大学の本堂で「仏前結婚式」が営まれたのである。新婦の白無垢姿は、日差しの中で眩しく輝き、羽織袴の新郎は凛々しく、未来を見据えるかのように力強く映っていた。

式師による「啓白文けいびゃくもん」の奉読から始まり、「般若心経」の祝祷諷経しゅくとうふぎん、お数珠の交換、三々九度の盃、そして仏前誓約の宣言…。新郎新婦の二人はもちろん、両家のご家族はどれほど嬉しかったことであろうか。また今日まで共に暮らした思い出に、あるいは一抹の淋しさがあったのかも知れない。しかし、厳かに進行する式典を見つめながら、その淋しさも大きな希望へと生まれ変わっていったようである。一連の儀式が終わると、参列していた者すべてが、満面の笑顔となっていたのが印象的であった。 

幸福とは何であろうか?ある夜、祇園精舎におられた釈尊にそう問いかけたのは、一人の麗しいインドの神であった。

「人間だけでなく、神々もすべて幸福を求め、幸福を願う。それゆえに尋ねよう。汝は何をもって最上の幸福となすのか?」

この問いかけは、ある意味で神聖なものにして、かつ人間的な思いでもある。釈尊はこれに十ばかりの偈文をもって答えたのだった。その一偈が上の言葉である。
 
善き行いを重ねつつ、そうした者同士が人として出会い、そして慈愛を育み、やがて互いに人生の誓願を分かち合うことが出来たのなら、それが人間にとって最高の幸福であると釈尊は説き明かしているのだ。

若き二人に幸多かれ、人の世は甘美であれと祈りを捧げることが出来た、実に幸福な一日であった。
坐禅堂での新郎新婦
お数珠の交換
三々九度の盃
仏教専修科、写真部の学生たちとともに
※阿部真心、里菜様ご夫妻には心よりお慶び申し上げます。また仏教専修科、写真部、映像制作研究会の学生、仏具の中居堂の皆さまには、式典のご協力と撮影に感謝いたします。

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