学長室の窓

学長メッセージ:365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@六年度 入学式 式辞

 2024年4月3日
本日は新入生の皆さん、学校法人栴檀学園、東北福祉大学、ならびに東北福祉大学大学院へのご入学、誠におめでとうございます。また、これまでご養育、お支えただきましたご家族の皆様、関係の各位には、深く感謝と歓迎の意を表しますと共に、心よりご入学のお祝いを申し上げます。

さて、皆さんにとって、本日はご自身の人生における新たなステージの始まりです。それぞれの希望を胸にして、そして、あるいは一抹の不安や緊張感を伴ってこの場に臨まれたかと思います。これからの大学生活は、今までとは異なる、いわば学問教育の最高学府の四年間となるのですから、そうしたお気持ちも当然のことと言えます。
でもどうか、もしも一抹の不安をお持ちの方がいらっしゃるならば、それを安心と自信に変えていっていただきたいと思います。なぜならば、私たちのこの東北福祉大学は、日本の社会福祉系大学を最先端でリードする誇り高き大学だからです。そして来る2025年、来年には学園創立百五十周年を迎える本学には、その伝統とゆるぎない実績があるからです。どうぞ安心して勉学に、研究に、そして部活動に邁進してください。とりわけ皆さんにとって先輩の在校生や卒業生には、日本、そして世界の、あらゆる分野で活躍している方々が多くおります。学生生活のすぐそばの身近なところに、目標となる優秀な先輩や友人たちが大勢いらっしゃることは、本学の最大の特色でもあります。必ずや、皆さんの夢を掴む大きな自信にもつながることでしょう。新入生の皆さんも、ぜひ本学での満足度の高い学びを目指して、さらに精進していただきたいと存じます。

明治八年、一八七五年に宮城県 曹洞宗 専門学支校として開学した本学は、鎌倉時代の曹洞宗の禅僧、道元禅師の教えをいただき建学の精神としています。それは「行学一如」の教えです。「行」とは実践、「学」とは学び。学びと社会の実践が、まさに一つとなり、おのれを見つめ、おのれを磨き上げることを理想とする禅の言葉ですが、この精神はまさに福祉や行政、情報、あるいは教育や心理、健康科学や医療を学ぼうとされる、ご入学の皆さんにとって、最もふさわしい理念といえるでしょう。
「おのれを見つめ、おのれを知り、おのれの得た知恵を実行する…」すなわちこれは、福祉を志す学問分野の要点が示されているのであり、学問そのものがもつ社会的使命が込められているのだと心得ていただきたいのです。

その昔、このようなお話があったことを紹介いたしましょう。
ある山寺で四人の修行僧が坐禅の修行をしていました。坐禅は基本的にまったく声を出さない無言の行です。それは言葉を離れた実践によって悟りを理解するために、言葉で論じ合う日常を離れるための修行です。
四人は互いに決してしゃべらないことを約束し合い、夜、灯明の明かりをひとつだけ灯して、静かに坐禅をはじめました。
夜も更けて、あたりは静寂の闇が包み、ただゆらゆらと灯明の明かりがかすかに揺らいでいます。四人は体を微動だにせず、じっと不動にして無想無念を貫こうとしています。すると、そこへわずかに風がそよぎ、小さな火が消えそうになりました。それを見た一人が思わず、
「あっ!火が消える」
と声を出してしまいます。すると隣の一人が、
「無言の行の最中に声を出すとは何事だ!なっとらんぞ!」
と言います。そこへ三人目がさらに、
「なぜお前たちはしゃべるのか!物には動じないようにせよ!」
と叱りつけます。すると、しばらくしてこの様子をじっと見ていた四人目が我慢できず、しかも勝ち誇ったように、
「はっはっは、私だけだな、声を出さぬのは…」
といって、悦に入っていたのでした。
この話は鎌倉時代の僧侶、一円(1226~1312)が書いた『沙石集』という仏教説話集にある話です。決して単純には笑えないこの寓話は、いったい私たちに何を語ろうとしているでしょうか?そこに気づいて欲しいのです。
ちなみに鎌倉時代に日本へ曹洞宗を伝えた道元禅師は、『正法眼蔵』「古鏡」の巻において、おのれへの振り返り方について、こう示されています。本日はわかりやすく口語訳でお伝えしましょう。

「今、あなたを取り巻いている環境は、あなた自身を映し出す鏡 なのです。外面的にも、またあなたの内面的な本質も、実はあなた自身が投影された姿なのです」

ご入学される皆さんにとって、これから始まる学生生活のさまざまな場面に出会ったとき、どうか自分自身の姿を振り返る建学の精神、「行学一如」の教えを思い出していただきたいのです。きっと、その時々に正しい答えが導き出されることでしょう。

われらが東北福祉大学は、私たち教職員が精いっぱい、皆様の生活をお支えします。安心して学業に、部活動に打ち込んでいただきたいと思います。

最後に、学長の私からもうひとつ、好きな言葉を贈ります。それは、道元禅師が別な機会にお示しになった、やはり「行と学」に関するメッセージです。
「衆の少きを憂ふること莫れ。
身の初心なるを顧(かえりみる)ことなかれ」
『正法眼蔵随聞記』
「若いからと言って、経験が、知識がとぼしいからといって、決して気後れすることはない」という言葉です。ひとたびチャレンジしたからには、そのはじめの一歩の気持ち、「初心(??)」が大切なのであって、若さや未経験、無知であることは、むしろ弱点ではなく、強みなのです。
誰にとっても初めは初心者です。最初から完璧な人などどこにもいません。経験や知識がないことに気後れせず、どんどん新しいことに挑戦してください。今、この瞬間の皆さんの心、初心にはそれだけ、何ごとをも乗り越える偉大な力があるぞ、と道元禅師は時代を超えて皆さんを奮い立たせているのです。
新入生皆さんのさらなるご発展と、一層のご活躍を心から祈念して、学長式辞といたします。

365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@六年四月三日
東北福祉大学 学長 千葉 公慈

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