学長法話：365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@七年度降誕会

釈尊降誕会は、お釈迦様の誕生を祝う行事です。「降誕」とは「兜率天」という神々の世界から特別な存在が人間界へ降りることを意味します。仏典によれば、お釈迦様が選ばれた際、兜率天の神々は別れを惜しみ涙を流しました。その神々を慰めるため、お釈迦様は弥勒菩薩を兜率天に残されました。弥勒菩薩は未来仏として、56億7000万年後に再び人間界に舞い降りるとされています。

さて、お釈迦様の実在については長く議論されてきました。仏典には超人的な逸話が多く記されているため、キリスト教文化圏では「インドの太陽神の化身であり、信仰上の空想の存在ではないか」と考えられてきました。しかし、1896年に西洋の考古学者ビューラーがルンビニーを発掘調査し、1898年にはイギリスのウィリアム?ペッペがインドのピプラーワの遺跡でお釈迦様の遺骨を収めた石棺を発見しました。水晶製の骨壺には「これは聖なるゴータマ?ブッダの遺骨である」と刻まれていたことから、お釈迦様が実在の人物であったことが証明されました。

発見はセンセーショナルなニュースとして世界中に広まりましたが、当時インドはイギリスの植民地だったため、遺骨はまずイギリス本土へ送られました。後に、インド政府とイギリス政府が協議し、遺骨を仏教国に分け与えることになり、ビルマ（ミャンマー）、スリランカ、シャム（タイ）に譲渡されました。特にタイの王様が日本の仏教界へ遺骨を譲る申し出をしたことで、日本にも一部が届けられました。お釈迦様の前歯の一部は名古屋の日泰寺に収められ、毎月縁日に祭られています。

お釈迦様の誕生については、インド仏典に多くの逸話が記されています。紀元前463年に釈迦族の太子として生まれたお釈迦様は、父王スッドーダナ、母マーヤー夫人の子として誕生しました。しかし母マーヤー夫人は高齢出産だったため、出産の一週間後に産褥熱で亡くなりました。お釈迦様の誕生は国中で祝われましたが、王妃を失った悲しみも相まって複雑な雰囲気に包まれていたと伝えられています。

お釈迦様の誕生時、アシタ仙人という王家の補佐役が瞑想中に神々が歌を歌っている光景を見て驚きました。釈迦国の王宮に急ぎ向かうと、生まれたばかりのお釈迦様がシルクに包まれて眠っていました。アシタ仙人はお釈迦様の身体的特徴を見て、「この子は特別な存在である」と占いました。父王は仙人が涙を流しているのを見て心配し、「何か不吉なことがあるのか」と尋ねましたが、仙人は「この子は王位を継承すれば転輪王となるが、出家すれば世の救い主となるお方である」と答えました。しか

し仙人は自分の高齢を嘆き、「この子が法を説く時、自分は生きていない」と悲しみながら、人々に見届けるよう伝えました。

また、誕生時に天から龍が降りてきて産湯を注いだとされ、この伝説が降誕会の「灌仏」に繋がっています。日本では江戸時代以降、甘茶を煮出して潅仏の儀式を行うようになりました。甘茶は砂糖の20倍の甘さを持つにもかかわらずカロリーがほぼゼロであり、成人病の食事用甘味料としても使用されています。

さらにお釈迦様の誕生時には、「天上天下唯我独尊」という言葉が発せられたとされています。この言葉は、悟りを開いた直後に説かれた教えとして『ウパカ経』に記されています。悟りを開いたお釈迦様は、ウパカという若者と出会い、「悟りの道とは、誰かに教えられるものではなく、自らの存在の尊さに気づくことが大事である」と説法したものです。この教えは「我思うゆえに我あり」というデカルトの哲学にも通じるものとも理解されるでしょう。

このように降誕会は、お釈迦様の誕生を祝うとともに、一人ひとりの命の尊さを実感いただく機会となる大切な行事です。とりわけ今年は栴檀学園創立150周年にあたり、皆様が特別な節目の行事に参加していることを感謝するものであります。本日の機会を通してご自身の人生の輝きと尊さを感じていただければ幸いです。