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VOL.64 DECEMBER 2009

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教員MESSAGE 児童福祉論 児童?家庭福祉論
皆さんならできる!
~スクーリングの感想とレポートの書き方アドバイス~

准教授 千葉喜久也

 今年度最後の児童(?家庭)福祉論スクーリングが東北福祉大を会場に11月21~23日開催されました。110名を超える方に出席していただきました。当日,ご出席いただきました皆さんには,本当にお疲れ様でした。私は,いつも通信の講義が始まる前日は,講義の準備と緊張でなかなか眠りにつくことができません。仕事の休暇をとり,家族の協力を得て大学まで来られる皆様の期待を裏切るような講義だけはしたくないとの思いが,自然と身体を緊張させるのです。
 そして,今回も受講生の真剣な眼差しと豊かな人生経験から来る真摯な態度は,講義をしている私を熱くさせ,休憩時間も忘れさせる3日間でした。また,休み時間や昼休み時間も惜しんで質問に来られる皆さんの思いに接して,私自身が忘れかけていた新鮮な感覚とたくさんの元気をいただきました。
 今回の講義の組み立ては,子ども虐待を切り口として,子どもと家庭の福祉について学習することでした。具体的には,子どもを取り巻く現状を理解し,子どものウェルビ-イング,親のウェルビ-イングについて考えることでした。混沌とした社会状況の中で,子どもや家庭が犠牲になっている状況が多々見られます。こんな時代だからこそ,子ども最優先の考えや子育ての社会的責任について解説をさせていただきました。
 では,今回受講されました皆さんの感想をご紹介するなかで,講義の様子を感じ取っていただきたいと思います。

●受講生の感想より

  • 今回,先生の授業を受講して,子供に対する愛情をいっぱいかけてあげるということがどんなに大切かということを思いました。そして,先生がおっしゃられた,「今の自分を受け入れる」という言葉をしみじみと感じています。いじめ,虐待という現代社会の現代病とも言えるものですが,相手が生きていればこそ起こり得るものであります。私は,長男,長女,次男の3人の子どもがいました。4年前,長男を突然の交通事故で亡くしました。当時は,本当に自分をどのようにコントロールしたらよいのかわからず,今思うと家族は大変だったろうと思います。でも,いろいろな人達に出会うことにより,やっと,現実を受け入れられるようになっていきました。こうして,通信講座を受けようと思ったのも,その一つかも知れません。先生の授業を受け,今の自分を大事にこれからも生きていこうと,また一歩踏み出すことが出来たように思います。
  • 今回の講義を受講して感じたことは,自分が今まで知ることの無かった,子どもの世界がとても厳しく,辛いものだったのだということです。福祉を仕事にしている者として,研修や資格取得のための勉強などで,子どもに関する事柄について触れる機会はありましたが,映像として見たのは初めてでとてもショックでした。虐待を受けた子ども達は,その傷が癒えるまで長い年月をかけなければいけませんし,完全に癒えるということもないかと思います。しかも虐待を受けてしまう理由が,「自分」にあると考えてしまうのは,なんとも切ない思いでした。どんなことをされても,やっぱり自分の親が好きなんだ,愛しているのだなと思いました。親の立場になって考えると,いろいろなストレスや周りとの関わりに疲れてしまい,やり場のない気持ちを子どもや家族に向けてしまうこともよく分かります。特に,自分に対していつも素直な気持ちでいてくれる子どもは,いいストレスのはけ口になるでしょう。それは,どんなにストレスをぶつけても,自分を見放さないからです。どんなに怒っても,次に優しい言葉をかければ,すぐに自分を受け入れてくれるからです。だから,子どもを手放したくないのかなと思いました。どんな仕打ちをされても,どんな虐待をしても,離れられないのは,お互いに辛く悲しい状況だと思います。なかには子どもを捨ててしまう親もいるけれど,死ぬまで子どもを産んだ事実は無かったことにはできません。子どもを持つ本当の意味が今回の授業で分かったような気がしました。

●レポートの書き方

 ここで課題レポートの書き方について若干のアドバイスをしたいと思います。通信教育の中で,レポート学習の占める比重は大変高く,ここをクリアーしないと次の段階に進むことが出来なくなっています。そこでレポートの作成に当たっては,自分で提出期限を決めたらその日に出すことを心がけることです。完成度の高いレポートを書こうと努力するよりも期限を優先することが大切です。また限られた時間に作成するためには,課題や解説を整理しテキストを読む時,気になった箇所や365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@と思われるところにマーカーペンでしるしを付けることから始めてみて下さい。そしてしるしのついたところを抜書きして整理したらこれが要約となります。この要約に対して,自分の考えを記述すれば,この分が考察になります。レポートは,「まずは提出!」を心がけてください。では「児童福祉論」「児童?家庭福祉論」のレポートの書き方について説明します。

課題「児童相談所の機能と市町村の役割」
 2004(平成16)年の児童福祉法の改正により,翌2005(同17)年度から児童相談体制は,市町村が児童相談の第一義的な窓口の役割を担うことになった。しかし児童相談には,専門的な知識や技術を必要とする場合が多くあることから,児童相談所が市町村をバックアップすることになった。レポートでは,児童相談所の児童福祉行政の中枢的機関としての機能を箇条書きでいいので,まず整理してください。そしてその機能の主な内容を述べてください。もちろん相談?措置機能の内容や一時保護所の機能について説明が出来ていることが365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@です。さらに市町村の役割や児童相談所との連携についても押さえていることが必要です。そして最後にこうした機能と役割が,なぜ児童虐待による子どもの死亡防止につながっていないのか考えてください。
課題「子どもの権利について」
 子どもの権利については,これまで子どもを社会的弱者とし社会的保護が必要な存在であるとしながらも,子どものことは親に任せられてきた。そして親に問題が生じたとき初めて行政が事後処理的,あるいは補完的に支援を行うといった対応がとられていた。この結果,対応の遅れから結果的に子どもが死亡してしまう悲惨な状況があった。そこでこうした悲惨な事件が起きないようウェルフェアからウェルビ-イングへと理念の転換が図られたのである。レポートでは,こうした子どもの権利の流れを理解し,子どものウェルビーイングについて,また社会的支援について述べてください。
課題「子ども虐待の現状と課題」
 児童相談所が対応した子ども虐待の件数は,4万件を超え増加傾向が続いている。このことの社会的背景と児童虐待防止法等の対策,関係機関の取り組みについて述べてください。そして虐待の定義とともに4種類の虐待を明記し,その特徴を説明してください。そして最後に子ども虐待の実態について,最近の新聞等で報道された内容について自分の見解を述べてください。
課題「児童家庭福祉制度の発展過程について」
 これまでの児童家庭福祉制度の発展過程を「児童手当制度」「児童扶養手当制度」の変遷を通じて理解してください。少子化や離婚が増加する中で,この制度の歴史的意義と課題は何か。今日,子育てへの社会的支援を求める声は高まっている。子育てへの経済的支援と,子育ての社会的養護の必要性について自分の考えを述べてください。

●おわりに

 通信で学ぶことはとても孤独な作業だと思います。また,働きながら学び続けることは,大変な苦労が伴うと思います。でも皆さんならできると思います。辛かったり,苦しくなったら思い出してください。自分がこれまで一番楽しかった時のことを,そして元気を出してください。
 通信制の皆さんの,今後のご健闘を期待しております。いつの日か,また再会できることを楽しみにしております。

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