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VOL.17 MARCH 2004

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[OB MESSAGE]
ソーシャルワーカーの仕事 —療養型病院から—

医療法人社団青葉会 医療ソーシャルワーカー
船山 幸代

●1 学生時代

 看護師である母の影響で,人とかかわる仕事をしたいなと漠然と考えており,高校時代に校外活動として始めたボランティアが,今の私の原点です。
 進路も自然と福祉を学べるところと考え,東北福祉大学に入学したのは,平成5年のことでした。学生時代は,「福祉」と言っても幅広いことを知り,漠然とした思いから具体的な方向付けをするのに悩んだ4年間でした。授業や実習はもちろんのこと,児童養護施設でのボランティア,同じ夢をもった友人と話しあったこと……。仙台の街そして東北福祉大学は,今後も私にとって特別な場所であり続けると思います。

●2 ソーシャルワーカーとしての出発

 東京都小平市,玉川上水のほとり閑静な住宅街の中に学園西町病院は建っています。当院は,関東近郊に21病院?2施設を持つ「戸田中央医科グループ」の1つで,主に高齢者の療養を目的とした病院です。入院されている患者様は,脳梗塞や脳出血などの後遺症や痴呆等により介護を要する方が中心で,リハビリテーションを行いながら療養をしています。平成9年4月,私は病院のソーシャルワーカー(以下SW)として就職しました。それまで「医療福祉」についてほとんど無知状態だった私に,当時の上司は「福祉をきちんと実践してくれれば,特別なことはいらないんだよ」と言ってくれました。一人職場の上,右も左もわからない私は,とにかくその言葉を信じて出発しました。
 SWは1人で仕事をすることはできません。そこで,連携の365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@さを改めて感じます。病院はすべて専門家の集まりである故に,多くの専門家とチームを組んで仕事を行うには,お互いの業務をよく理解していなければなりません。入職当初は,とにかく院内を歩いて,いろいろな職種の人と話をすることから始めました。医学知識の乏しい私に病状について解説してくれた院長先生,患者様の現状を身近な立場から情報提供してくれる看護師,時には厳しい助言も頂きましたが,今となってはそれらすべてが私の糧となっているように思います。

●3 療養型病院におけるSW業務について

 療養型の病院でSWに求められることの第一は,入院窓口としての相談業務です。急性期を脱してもなお療養が必要な患者様の相談,自宅で介護してきたが,病状の変化?介護の重度化により継続できなくなった場合など,病院と病院,在宅と病院をつなぐ役割を担っているのです。また,ご希望に応じてスムーズに入院していただくためには,常にベッドコントロールにも目を向けなければならず,それは病院経営にも影響する業務と言えます。これは民間病院である以上,SWも目をそらしてはいけない現実なのです。入職した当初は,それをなかなか理解できず,病院(経営)と患者様の狭間で何度も挫折しそうになりました。
 病院機能が細分化され,在院日数も短縮されていく中で,私が療養型病院にこだわっていたい理由は,患者様とじっくりかかわりを持ちながら援助業務を行えるということです。相談援助だけではなく,院内のスタッフと共にレクリエーションの企画をしたり,時には患者様と車椅子でお散歩に出掛けたり。その時々により病室では見られない患者様の様子に触れることができ,それを援助業務にも反映できるように思います。
 また,病院は医療の場であり生活するのに適した環境とはいい難い面が多々あります。しかし,現実に入院(生活)している人がいる以上は,少しでも有意義な時間を過ごして頂きたいと思い,レクリエーションの企画等にも取組んできました。今ではそれが定着しており,まだまだ十分とは言い切れませんが,生活の質にも目を向けた病院作りができてきたのではないかと思います。

●4 前向きに,そして続けていくこと……

 早いもので私がSWとして学園西町病院に来てから,7年が過ぎました。今回,この原稿を依頼され今までのことを振り返ってみたのですが,過ぎてしまえばあっという間だったなぁというのが正直な感想です。
 院内において,SWの業務を理解してもらうこと,その上で活用してもらうことは,医療の現場にSWが登場してまだ歴史が浅いこともあり,なかなか思うような業務を展開できないのが現状です。しかし,それでも「続けていくことでアピールする」というのが,一番の方法であると私は思います。最初は自分の業務を滞りなく行うことで精一杯だった私も,最近はSWの業務だけでなく,病院の運営にもSWとしての意見を求められるようになりました。
 また,7年が過ぎて,最近やっと「医療福祉」の一部が見えてきたように思います。日々刻々と変わり続ける状況の中で,患者様と接することで見えてくる医療制度の矛盾点などについて,身近なところで私にできることはやはりこの仕事を続けていくことではないかと思います。

●5 これから

 平成16年4月,学園西町病院は移転新築し「小平中央リハビリテーション病院」に生まれ変わります。今までの療養病棟に,回復期リハビリテーション病棟?老人性痴呆疾患療養病棟を加えることで,さらに幅広い患者様にご利用いただける病院になります。
 現在は,日常の業務と同時進行で新病院の体制作りに追われる毎日です。SWの業務も回復期リハビリテーション病棟?老人性痴呆疾患療養病棟の新設に伴い,それぞれの病棟の特徴に合せた形で展開していかなければなりません。今まで築き上げてきたことと,新しくなることで取り入れられることを吟味し,患者様に選ばれるよりよい病院にしていきたいと思っています。新しいことを始める時には,常に期待と不安が付き物ですが,期待の方をより大きく持ってこれからも試行錯誤しながら頑張っていきたいと思います。
 最後に,学生のみなさんに参考になるようなことが書けたかどうか心配ですが,参考になればうれしいです。現場はつらいこともありますが,その分たのしいことも多いですので,今のうちにたくさんのことを吸収してください。みなさんの今後に期待しております。

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