【現場から現場へ】
[関連施設紹介]
せんだんの杜なかやま せんだんの杜くにみ
—総合施設におけるサービス機能の地域分散化の試み
せんだんの杜 杜長
中里 仁
これまで,せんだんの杜(仙台)における高齢者福祉施設を中心とした総合施設の主たる事業所のご紹介をしてきましたが,今回からは,それら総合施設が有する「サービス機能の地域分散化の試み」についてのご紹介をしていきたいと思います。
誰もが住み慣れた「地域」で暮らし続けられるサービスの開発
以前にも書かせていただきましたが,これまでの日本の高齢者福祉事業を一言で表現するならば,保護収容を基本とした「施設福祉」中心であり,言い換えれば「地域から隔絶された」特別な場所での特別な生活を利用者が強いられてきたと言っても過言ではないと思います。だからこそ,そこで働く職員やその家族が「利用したくない」高齢者施設が日本国中のあちらこちらに存在しているのではないのでしょうか。
せんだんの杜では現在,その基本理念に掲げております「共生の地域づくり」「利用者主体の原則に基づいた新しい地域福祉サービスの開発と,住民参加の街づくり」の考え方をより具体化する一つの試みとして,なんらかの理由で支援が必要となっても,利用者が可能な限り住み慣れた地域の中で,これまでの家族や近隣との友人関係を保ちながら生活を継続していただくための新しいサービスの拠点を地域の中に整備しています。従来型の制度上の縦割サービスを組み合わせる現行の支援のあり方(制度に利用者が合わせる)から,利用者の生活支援に必要なサービスを組み合わせ(利用者のニーズに合わせて制度を創る)「通って,泊まって,自宅にも来てくれて,いざとなったら住むこともできる」ような多機能なサービスが提供できる拠点を「小学校区」に点在させる「地域密着?小規模多機能ホーム」のモデル事業を展開しております。
地域密着?小規模多機能ホームの考え方
地域密着?小規模多機能ホームの考え方の基本は,「施設」が地域の中心にあり「広域」から利用者が施設に集まってくる従来の施設福祉中心の考え方から,「地域福祉」の充実を中心に置いた考え方で,これは従来の施設福祉を否定または対峙するものではなく,施設の持っている様々な「機能」を効果的に小地域に「分散」させ,より「地域に密着」した形態で利用者のニーズに答えていこうとする考え方です。
一見すると「総合施設のミニ版」を地域に分散させた「だけ」のように考える方もいると思いますが,「住み慣れた自宅や家族友人から遠く離れ,隔絶された特別な場所である巨大な施設のサービスを利用するために集まり住まう」と言っこれまでの形態と,そのサービス機能はすでに福祉施設が有しているものであっても,「あくまで住み慣れた小地域の中で,小規模ではあるが自宅や家族友人たちから遠くない,言ってみれば生活の延長線上で手軽にサービスを利用する」形態とでは,その根本が異なっているのです。
こんなサービスを展開しています サービスの種類
紙面の都合もありますので,今回はせんだんの杜が近隣の小地域で現在展開している事業について箇条書でご紹介することとして,次号より改めてひとつひとつご紹介していきたいと思います。
せんだんの杜なかやま(仙台市中山地区)
- 中山の家1〔介護保険:通所介護事業(痴呆)〕
- 中山の家2〔介護保険:通所介護事業(一般),自主事業:宿泊,居住〕
- ひまわりの家〔特養リベラ荘「ひまわりユニット」利用者の地域体験の家〕
- 中山2丁目の家〔障害児の放課後ケア,レスパイト事業〕
- よりみちの家〔特養リベラ荘ショートステイ利用者の地域生活体験の家〕
- 街角サロン「もうもう亭」〔介護保険:訪問介護,居宅介護支援事業。自主事業:高齢者,児童,障害児?者,地域福祉ボランテイアなどの総合相談センター,障害者の働く拠点。〕
せんだんの杜くにみ(仙台市国見地区)
- 保育の家「ぽかぽか」〔認可外保育園〕
- 国見通所介護事業所「くにちゃんデイサービス」〔介護保険:通所介護事業(一般)〕