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VOL.11 JULY 2003

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[MESSAGE] 春期スクーリングを終えて

福祉心理学科 学科長
木村 進

1.初めてスクーリングを体験しました

 4月26日(土)?27日(日)と29日(みどりの日)の3日間にわたって「生涯発達心理学」のスクーリングを行いました。スクーリングは昨年通信制大学院の授業で経験済でしたが,大学院の授業は「演習」ということもあり,受講生の主体的な学習に任せる部分が多かったので,「集中講義」形式のスクーリングは,初体験でした。おまけに,小山にパソコンを使って中継するという初の試みも加わっており,それがうまくいくかどうか,何となく責任を感じる部分もありました。また,中継がなければ,時間の区切りも自由にできるのですが小山で受講している人のことを考えるとそうもいかず,できるだけ決められた時間内で授業を区切るという努力も必要でした。結果として,講義の出来がどうだったかについては,受講生の判断にまつしかないわけですが,終わってみると,私なりには充実した3日間だったと振り返っています。
 通学課程の学生と違って,普段講義を聴くということに慣れていない(だろう)人々を相手にするということで,いくつか気をつけたことがあります。第一は,言うまでもないことですができるだけ平易な表現を使って,わかりやすく……ということです。第二は,具体的な例を多く使って,理解を促進すること。第三は,内容にメリハリをつけて飽きさせないようにすることでした。私が予想していたよりは反応がよく,一生懸命話を聴こうとする態度が伝わってきました。とは言うものの,一定時間内に必要なだけの内容を伝えようとすると,どうしても盛り沢山になってしまい,予め教科書の該当部分を読んでくるように指示はしておいたものの,現実には消化不良になった部分が多かったのではないかと懸念しています。毎年スクーリングがあるので,経験を踏まえて改善していこうとは思っていますが……。

2.スクーリング?テストの結果について

 最後の時間にテストを行いましたが,通学課程で行うテストと全く同じ形式だったので,ちょっと難しかったかもしれません。解答のポイントを書いておきますので,自分が書いた内容と照らし合わせてみてください。

[問題1]「生涯発達」とはどういうことかについて,いろいろな角度から説明しなさい。(30点)
 *「生涯発達」とはどういうことか
 *なぜ「生涯発達」という考えになったのか
  ?高齢化社会の到来,長寿化に伴って老年期の研究が盛んになり,その前段階である成人期にも目が向けられるようになった
  ?ハヴィガーストの発達課題
  ?エリクソンの心理社会的危機説
[問題2]大脳の機能の発達について説明しなさい。(30点)
 *大脳の機能とは,大脳の構造(神経細胞の図)
 *シナプスの形成,ミエリン鞘(髄鞘)の形成(ランビエの絞輪)などにより,情報が正確に速く伝達されることによって,脳の働きが飛躍的によくなる
 *脳を刺激すること(使うこと)によって,上記のことが促進される
[問題3]以下の事項について,キーワードを書きなさい。(キーワード1つにつき3点。間違った場合は,-3点)
 (1)ダウン症:常染色体異常,21トリソミー,知的障害(精神遅滞),心臓奇形,ラングドーン?ダウン
 (2)遺伝に関する研究:家系研究法,双生児法,カリカック家,ゴダード,ジェンセン
 (3)言語の機能:自己表現,コミュニケーション,思考,自己統制
 (4)ホスピタリズム:マターナル?ディプリベーション,施設病,長期入院,アタッチメント理論,ボウルビー,スピッツ,知的障害,パーソナリティ障害,言語障害

 このうち,「キーワード」を答える設問では,単語で答えるようにという指示を出したにもかかわらず,例えば「思考の道具」というようにのを入れたために不正解になった解答が多くありました。この場合は,3点マイナスにするには忍びないので,-1ということで処理しました。また,すべて文章で説明したために,この問題で相当マイナスを稼いで不合格になってしまった受講生もいます。試験までに2?3度は指摘したはずなのですが,やはり試験というものに不慣れなせいでしょうか?

3.充実したスクーリング受講のために

 目下のところ,受講生からのフィードバックについて知らされていないので,私のスクーリングがうまくいったのかどうか判断する材料はありませんが,私の何倍も,受講生が疲れたことは確かだと思います。疲れても理解が進んだのなら言うことはありませんが,3日間の「詰め込み授業」でしたので,聴いてノートをとるので精一杯という受講生も多かったのではないかと推測しています。
 別に通信教育だからというのではなく,こういう集中講義形式の授業は講義をする方も大変だけれど,聴く方はもっと大変ということになりがちです。それをできるだけ緩和しようとして,私としてもいろいろ努力はしましたが,理解度ということにポイントをおいて考えると,結局は,受講生が,スクーリングに来る以前に,どれだけ教科書を読んできたかということが重大な意味をもっているように思われます。スクーリング中に教科書の予習をしようと思っても,ノートの整理はしなくちゃならないし身体を休めて翌日に備えなくちゃならないし……で,思うようにできなかったことと思います。
 試験が終わってから,私のところに何人かの人が話しに来てくれましたが,そういう機会を積極的に作る必要もあったかな,と思いました。もっともお互いに疲れているので,なかなか難しいことだったかもしれませんが。とにかくお疲れ様でした。

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