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VOL.21 AUGUST 2004

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[精神科リハビリテーション学]
日常の言葉で対象者の問題を考えよう

兼任講師
八巻 幹夫

◆私のプロフィール

 はじめまして皆さん,私は昭和48年本学卒業のOBです。本年3月まで仙台市内の精神病院でソーシャルワーカーをしていたのですが,4月から精神保健福祉士の養成学科を新設した他の大学に勤務しております。以前から,本学通学課程に非常勤で勤務してはいましたが,専任教員としてはほやほやの新人です。毎日,何もかも初めてのことに四苦八苦しています。ですから,皆さんのレポートを添削することも初体験です。
 これまで10数編の添削をしましたが,参考文献を読み込んだことがうかがえるレポートや文章の確かさを拝見し,正直いってびっくりしています。気を引き締め本腰を入れなければ,私がつぶされそうです。皆さんとのある意味での闘いですね,負けるわけにはいきません。大げさですが,喰うか喰われるか,お互いにがんばりましょう。

◆レポートの再提出

 通信教育という形態上,皆さんは教材をもとにご自宅で学ばれていますが,この科目では4つの課題レポートと科目修了試験が評価の対象ということになります。レポートによっては,すばらしい学びぶりに感心する一方で,残念ながら再提出をお願いすることもあります。
 なぜ再提出をお願いするのか,私なりのいくつかの基準(理由?)を改めて考えてみました。レポートは,学んだことを課題ごとに文章化する一連の作業にすぎないのですが,まずレポートの体(てい)をなしていないものがあります。主語のない文章がみられる,突然本題に触れる文章からはじまる,レポートの構成が弱いために配分を間違えたり論旨が一貫しない,引用文献の表記がない,等々です。
 次に,レポート課題の内容について,論点がずれている,何を言いたいのか伝わらない,しかも,そのレポートは作成してすぐ送付したとも思われる(誤字を修正液で消しながら,修正されていない)。大切なレポートですので,再度の確認はして欲しいものです。また,レポートの大部分が引用文献で占められているのでは?というのもあります。レポートは複数の文献からの引用を組み合わせて作成するものではないと思います。
 文献が示す365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@な論点をレポートに明示することは当然のことですが,それによって,ご自身が理解したことと,それに対するご自身の考えや課題を述べることに展開できるのではないでしょうか。
 レポート添削は,担当教員と履修された皆さんとの初めての出会いであり,私にとっても密かな楽しみ(?)です。数少ないこれらの出会いを今後も大切にしたいと思っています。

◆ふだんの言葉でレポートを書こう

 精神科ソーシャルワーカーの大先輩であり,私が尊敬する窪田暁子先生(現中部学院大学)は,“ソーシャルワーカーは,日常の言葉で相手に伝えることが大切”と言っておられます。私たちが使う専門用語は非専門家の対象者に通ずるものではない,むしろ(専門用語ではない)日常の言葉で話すことが必要,そのためには,ふだんから「日常の言葉で対象者の問題を考える」こと,と私は理解しています。このことはレポート課題集のアドバイスでも同様のことを申し上げております。
 これらを実行するとなると結構難しいことですが,ふだん使わない熟語を避ける,なるべく専門用語を活用しない,等を頭におきつつレポート作成にあたって欲しいものです。

◆レポート課題を考察する際に

 「精神科リハビリテーション学」を含めた一部の専門科目は,いわば,国家資格化によって起こされた,学としては未熟な領域で,それぞれの科目が大部分において重なり合っています。そのなかでも,「精神科リハビリテーション学」を学ぶ上でのキーワードは,「障害と精神障害」?「生活と生活障害」にあります。しかも,これらのキーワードは,不健康さをあまり感じないで生活している私たち自身にも大いに関係あるものです。つまり,ことさらに“障害者の場合”と冠(かんむり)をつけないで,ご自身やご家族の「障害(生きづらさ)」を意識しつつ学ぶことが大切と思うのです。このことに触れたレポートがあっていいとも思っています。
 また,精神障害分野に限らない障害者施設でのボランテア活動を皆さんにお勧めいたします。現に施設で働きながら学んでいる方もいるのですが,大部分の皆さんはそういう機会が少ないと推測しています。よきにつけ悪しきにつけ,私たちが持っている障害者観は障害者と共にいる体験に365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@な意味を含んでいますので,マスコミ等の情報とはかなり違うたくさんの学びをいただける場になると思います。今後予定されているカリキュラムでの体験学習や援助実習を待つまでもなく,今からそういう場の確保をお考えください。

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