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VOL.21 AUGUST 2004

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ボランティアセンター

 ボランティアセンターの渡辺信也です。今回から「学生ボランティア体験記」を連載していきます。さまざまなボランティア活動があるなか,学生はボランティアから何を感じ,何を学んで成長したのかを文章にしてもらいました。今回は「感動」がテーマです。それではごゆっくりご覧ください。

●福祉心理学科(通学課程) 3年 箭内 智一(やない ともかず)

 ──皆さんは「感動」したことありますか?
 人それぞれ感動の価値観は違いますが,きれいなものをきれいと思い,悲しいものを悲しいと思う素直な気持ちが感動の始まりなのではないでしょうか。たとえば,友達と遊んで楽しんだり,映画を見て泣いたり,これらもごく小さな感動なのだとしたら……。
 生活の中にある「感動」のきっかけ。それに気付けるかどうか,それを感動として捉えられるかどうかが鍵となってくるのではないでしょうか。
 夢や目標を目指すときには何らかのきっかけがあったはずです。何かに感動し,それがきっかけで動き出したことは誰しも憶えがあるのではないでしょうか。
 2003年の初夏,私は友人たちと共に『Emsemble FANTASISTA─アンサンブルファンタジスタ─』というボランティア団体を立ち上げました。
 設立のきっかけはその年の初詣のとき,東京芸術大学に進学した小学校からの友人と例年通り近況報告をしていたときの話題からでした。
 トランペット専攻の友人が,ある医療施設での演奏会にボランティアで参加した時のことです。観客の多くは決して長くない余命を宣告された子どもたちだったそうです。キラキラした目で演奏を見つめる子どもたち,そして演奏後,保護者の方からもらった感想に彼は心をうたれたそうです。その内容は,素晴らしい演奏に対する感謝とまた来て欲しいというお願い,そして,「今回の演奏を聴いて子どもが笑顔を見せてくれた。次回は子どもと一緒に聴けないかもしれないが,あなたたちの演奏はこれから精一杯生きていくきっかけになっただろう」という感想だったそうです。それを聞いた友人は,自分のおこなっている音楽というものに大きなやりがいを感じさせられたと言います。
 いろいろな社会問題が多いなかで,感動するということがその人にとって何かのきっかけになればいい。ならば,自分たちで「感動」を広めていこうと私たちは考えました。
 音楽をきっかけに感動することの素晴らしさを伝えたい。そこから地域の方々や子どもたちとのふれあいができれば,自分たちも素晴らしい感動ができるのではないだろうか。これが『Emsemble FANTASISTA』の始まりでした。
 『Emsemble FANTASISTA』のメンバーは全て学生で構成されています。主なメンバーは,東京芸術大学でそれぞれトランペット,クラリネット,バイオリン,作曲,音楽環境創造を専攻する5名,大阪教育大学で芸術学を専攻する1名,最後に東北福祉大学福祉心理学科の私の7名です。
 プレイヤーはそれぞれの専攻する楽器を担当しますが,作曲専攻の学生は作曲?編曲とピアノ伴奏,音楽環境創造専攻の学生はデザインとマネジメント,大阪教育大の学生と私はアドバイザーとマネジメントを担当しています。また,演奏会によっては東京芸術大学から木管楽器,弦楽器,打楽器などの同志を募り,より大きな編成での演奏にも取り組んでいます。
 私の担当するアドバイザー&マネジメントの仕事は,演奏会に対する客観的な意見でのアドバイスや演奏会をビデオやデジカメで記録する作業です。雑務なども含まれますが,観客となる子どもたちの更に近い位置に立つことが出来ますし,子どもたちの視点で演奏会をとらえることも出来ます。小さなことですが,そのようなことが福祉的な意味合いに繋がれば良いと考えています。
 団体代表でトランペット担当の学生と大阪教育大学の学生と私の3人が同郷(福島県須賀川市)ということもあり,地元を中心とした多くの小?中学校で演奏会を開かせていただいております。
 また,昨年は小学校主催の秋祭りや中学校の文化祭などのイベントからの演奏依頼もいただくことができました。演奏はクラッシックを主としていますが,特にジャンルを定めているわけではないので,いろいろな曲を聴いていただいています。
 小学校での演奏会では低学年の子どもたちが本当に素直な反応を見せてくれます。曲に合わせて体を揺らしたり,バイオリンやトランペットの演奏をまねて手を動かしてみたり,やさしくゆったりとした曲の時はウトウトと気持ち良さそうな表情を見せてくれたりします。
 それぞれの感動をその場で,その体で表現してくれる子どもたちに,いつも私たちの方が感動をいただいています。言葉を用いていないコミュニケーションが確かに交わされているのを感じて,ときには涙を浮かべてしまうこともありました。
 「感動」をテーマにした活動は一見,力強く華やかに思われるかもしれません。しかし,全ての観客の方が演奏を同じように感じてくれるわけではないため,非常に繊細で地道な活動であると言えるでしょう。
 100人の子どもたちのうち,1人でも2人でも私たちの演奏会に感動を覚えてくれればいい。わずかでも私たちとの出会いを何かのきっかけにしてくれる人がいてくださったら,それで演奏会は大成功だと思っています。
 私たちの活動が,いずれたくさんの感動として実るのを夢見て。『Emsemble FANTASISTA』は「感動」をテーマに,たくさんの子どもたちとの素晴らしい出会いを信じて活動していきます。
 私たちの活動について,ご質問やご感想等々ございましたら,ボランティアセンターまでご連絡ください。
 HPアドレス:http://www.tfu.ac.jp/volunt/


●ボランティア情報の検索

 本学ボランティアセンターに寄せられたボランティア依頼の情報は,ホームページから検索できます。
 http://www.tfu.ac.jp/ → 左側のフレームの「キャンパス案内」→「ボランティアセンター」→「ボランティア検索」の順でお願いいたします。

●本学関連施設でのボランティアの受入れについて

 本学関連施設「せんだんの杜」「せんだんの里」では,ボランティアの受入れを行っています。希望者は,下記連絡先に直接お問合せください。「どのようなボランティアを希望するかをお伺いします」とのことでした。

※せんだんの杜  実習教育課 ボランティア受入れ担当
(代表)022-277-1122 (FAX)022-719-0688
※せんだんの里  相談実習課 越前谷(えちぜんや)さん
(直通)022-303-7560 (FAX)022-303-7576

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