【お知らせ】
ボランティアセンター
あけましておめでとうございます。今年もボランティアセンターをどうぞよろしくお願いします。今回のテーマは「偶然」。100名を超えるサークルの部長を勤めており,新潟県中越大震災でのボランティアにも参加した彼女のボランティア体験記です。どうぞごゆっくりご覧ください。
●総合福祉学部 社会福祉学科(通学課程)3年
宍戸絢子(ししどあやこ)
私は大学一年生の頃から「老いを見つめる会こまくさ」というボランティアサークルに入り,特別養護老人ホームにて,レクリエーションや話相手をする活動を行っています。私がボランティアを始めようと思ったきっかけはごく単純なもので,「おじいちゃんやおばあちゃんとお話しするのが好き」ということだけでした。また,入学時は一人でボランティアをするのも心細かったので,サークルに入れば仲間ができるのではと思い気軽な思いでサークルに入会しました。
サークルに入ってみるとボランティアを始める前に基本的マナーや車椅子の操作方法,注意すべき点などを先輩方から丁寧に教えていただき,ボランティアと言っても奥深いものなのだと感じました。高齢者の話相手をすることにおいても気持ちよく接することが大切になりますし,楽しんでもらえることが私たちの喜びにつながることです。活動をする際は準備をしっかりすることで,いい活動につながることを実感しました。
ボランティア活動は一回行っただけでは楽しむことはできません。私が初めて活動したときは緊張のあまり,こわばった笑顔になってしまい,何を話せばよいのかパニックになってしまいました。何度も活動を行っているうちに話す内容も増え,自然と笑顔が作れるようになりました。私が笑顔になると相手も笑顔になり,とてもよい雰囲気ができ,楽しい活動につながります。
ある活動のときの話ですが,一人の痴呆のおばあちゃんがいました。そのおばあちゃんは何を話しかけても「うん」としか言わず,ほとんど無反応の方でした。ある日,私は宮城県出身で出身地の話をしていると急に「あなた丸森なの? 私は角田出身なのよ」と急に話を始めました。丸森町と角田町とは隣町でとても親交のある地域です。それから,「昔はね角田の○○で遊んだものよ」という話から始まり,一時間くらいは丸森と角田の昔話で盛り上がりました。
いつもはほとんど話さない方だったのでとても驚きました。その後の昼食の時間に,その方はご飯をペロリと食べてしまったのです。職員の方から,「あら,今日は食欲があるのね」と言われているのを聞いて,私はとてもうれしくなりました。ほんの些細な会話から1人の利用者の方を一瞬ではありますが楽しませることができたのだなと思いました。その後も何度か話しかけてみたのですが,そのときのように話が止まらないというときはなくなってしまいました。でも,本当にさりげなく言った一言が引き起こす喜びと言うものがあるのだと感じました。ボランティア以外でも言葉と言うものは一つ一つを考えながら使わなければならないのだと感じた体験でした。
ここで話は変わるのですが,私は昨年11月8日から17日まで,新潟中越地震災害復旧ボランティアに参加してきました。私は高齢者デイサービスセンターにてボランティア活動を行いました。私は,サークルにおいても高齢者施設でボランティアを行っていたということもあり,スムーズに活動に入って行くことができました。活動内容は利用者の方とコミュニケーションをとることを中心に,整髪やお茶出し,配膳や下膳,レクリエーションなどを行いました。普通の実習などと内容はほとんど変わらなかったのですが,利用者の方の精神的な面が普通のボランティアとは違っていたと思います。
毎日,余震が続くために安心して眠ることができず寝不足が続いている方や,家を失ってしまい元気をなくしている方たちもいました。その方たちには何ができるのかと感じながらボランティアを続けていました。私は多くの方に安心して生活してほしいと思っていたのですが,特に何ができると言うわけでもありませんでした。雰囲気だけでもよくしようと笑顔だけは絶やさないようにしていました。
ある活動のとき,村が被災してしまい,元気をなくしているおじいちゃんがいました。話しかけても元気がなく,とても落ち込んでいるように見えました。その方に何度も笑顔で話しかけているうちにだんだんと,昔話をしてくれるようになり,笑顔を見せてくれるようになりました。最後の方には目が合うだけで笑顔になってくれるようになり,自分自身もとてもうれしくなりました。
このような経験があるからボランティアは続けて行きたいといつも思います。また,違うおばあちゃんからは仙台に戻ってから折り紙で作った人形をいただきました。涙がでそうになるほどうれしかったです。この新潟の地震のボランティアに参加しようと思ったことも本当に些細なことでした。テレビを通してみているだけではなんだか不思議な感じがして,実際に行って何か私に手伝えることがあればしたいと言う理由だけでした。
ちょっとした思い付きやきっかけで自分がうれしくなったり感動したりする出来事が起こります。また,私は思い立ったらすぐに行動するようにしています。ボランティア活動やこれから何かをしていくきっかけとなるのではないかと思っています。
私は今回のテーマを「偶然」としました。私はこの「偶然」という言葉を大学に来てから,大好きになりました。今まで私が話してきた体験談は「偶然」が引き起こしたものだと感じています。偶然発した言葉により相手を楽しませたり,偶然行こうと思った活動により感動を得られたりと偶然はすばらしいと思います。いつ何が起こるかわかりませんが,私はこの「偶然」を楽しみながらボランティア活動を行っていきたいと思っています。