【お知らせ】
新時代を読む「感性」の実践──大学が一体になって取り組んだ学会に感激
第53回日本社会福祉学会,第5回日本感性福祉学会が10月8日(土),9日(日),東北福祉大学で開催された。開催日の2日間は晩秋を感じさせる肌寒さ。全国各地,海外からの参加者の多くは,仙台の10月の気候に驚かれたかもしれない。2つの学会に参加してみての様子と印象の一部ではあるがメモにしてみた。
今回の学会ではこれまでにない新しい試みが3点あった。それは同時に学会を2つ開催,社会福祉学校連盟の学長が100人近く集まる学長会議,福祉用具展である。大会テーマの「社会福祉と感性」─社会福祉と21世紀の新しい視点─はアカデミックな重厚さとこれからの福祉の可能性を示唆するものとして3つの新しい試みは意義があるものと思えた。
学会は記念講演,シンポジウム,研究発表,学会初めての福祉用具展に約2,000名の参加があった。通信教育部の学部?大学院の在学者,修了者の姿も多く見受けられ,それぞれの目的に応じた学会を満喫できたのではないだろうかと思う。
私も2つの学会に参加し,学問の深淵をのぞくことができ,さらに日本の第一人者といわれる先生方に直接お会いできたことは何ものにもまさる体験となった。そこで見聞した内容を3つの意義に整理してみると次のようになる。
(1) 研究者の視点(キーワードの365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@性)
(2) 進化の過程の発見(福祉の現在,過去,未来の確認)
(3) 参加者の意識(目的をもった集団)
まず,研究者の視点からは論文としてまとめ,発表する骨子には必ずキーワードが必要であること。キーワードをいかに365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@視して論点を構成するのかということ。それをもとにしてあらゆる文献,資料を精査していくことが研究であるのだと,その時間と労力を惜しまない地道な努力に拍手を送りたい気持ちになった。
次にこれまでの福祉の歴史を知ることによって福祉の進化の過程を発見する糸口を見つけることができるとの印象をもった。福祉の現在,過去,未来を総合してみることは,自分がこれからどういう領域に研究の視点をもつかの365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@なポイントになる。歴史から学ぶ365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@性,変化し演繹される制度,この演繹されるという視点こそ研究のキーワードであると思えた。
さらに,参加者の意識と研究に対するひたむきさには驚きの一言である。同じ目的をもった集団であり,話題に尽きることのない会話はまるで時間を楽しんでいるかのようである。あらゆる場面で討論し,休憩時も食事のときも,懇親会でも学問の話題が途切れることがない。これくらい凝縮した空間に浸れることは私にとっても望むところであった。学会に参加することだけが意義ではないが,自分をふりかえる「場」として,自分らしい方向性の意義を見いだせるのではないだろうか。
今後,通信生の皆さんにぜひとも学会と名のつくところに参加し,自分をみがく「場」にしていただきたいと思う。日本社会福祉学会はそのための大きな刺激につながったのではないだろうか。私自身も先行研究の論文を読み進め,今回の学会で直にその先生にお会いしご意見を伺う機会を得た。社会福祉研究の第一人者といわれる先生には,どなたにも人間性の幅の広さ,抱擁力のある柔らかな口調,そして何よりも学問としての確実さを感じ,初学者の私には太刀打ちできない大きな壁が立ちはだかるものだと思え,「自分の根っこをつくろう」との意を強くした。日本社会福祉学会が自分の現在地を確認できる「場」になった意味は大きい。同時に未知の領域の扉をたたいたようでこれからが楽しみである。
大会終了後,大会運営に関して大学,教職員,院生?学生等が一体となった気配りと温かい対応に感謝の言葉をいただいて労われたと聞き,大会テーマの「社会福祉と感性」を大学あげて実践したのだと,省略のない関係者の心遣いに,独り胸を熱くした。
(通信教育部 課長 青栁 勉)
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