【通信制大学院コーナー】
平成19年度通信制大学院修了者からのメッセージ
「修了」を支えてくれた皆さんへ感謝をこめて
社会福祉学専攻 新井 文子
平成18年4月8日の入学式に参列してから,平成20年3月22日の学位記授与式をもって,大学院生としての2年間に終止符が打たれた。修士(社会福祉学)という学位を,本当に得ることができたのだろうかと疑ってしまう。しかし,手元にある立派な学位記を見て現実であることに安堵し,感無量になり涙がこぼれてくる。院生としての2年間はあっという間に過ぎ去ったが,その中身は非常に濃厚であり,人生80年時代の折り返し点を疾うに過ぎているこれまでの人生の中で,もっとも意義ある「時」となった。2年間のすべてが大変であり,すべてが印象的であった。文献を読むこと,レポートを書くこと,疑問を持ち解決していくこと,職業人?主婦(母親)?学生の三役をこなすことなど,どれをとっても楽ではなく,簡単なものは何一つない。それゆえに得られた学びは大きく,充実感や達成感を思う存分味わうことができたのだと思う。
修士論文の執筆は「難」を極めた。これほどまで手こずらせた院生はかつていないだろうと思うほど,ご迷惑とご心配をおかけしてしまった。入学当初の構想レジュメは修士論文として適性に欠けていると,担当教授よりご指摘を受け再検討が必要となった。2回,3回と通信指導や面接指導を幾度となく繰り返し,「修士論文として本当に書きたいものを……」という後押しにより,悩み苦しみながらもようやく構想を整えることができたのは,なんと2年次の8月24日である。その後仕事の調整をしてから本格的に書き始めたのは9月に入ってからであり,それからは寝ても覚めても頭の中は「修論」だらけ。夢の中で文献検索,データ分析,図表作成,執筆……,はっとして目を覚ますと,書く作業を現実化させるという修論中心の生活。この状態は書き終えるまで連日繰り返された。担当教授の指導にはメールを使用した直接のやり取りである。章や節単位で小刻みに草稿を提出しコメントをいただくという方法であり,それは約4ヶ月間で15回にもなった。コメントは決して細かいものではなく,方向性を示してくださるという感じである。それを参考にしてひたすら考える,書いて調べて,また考えるということの連続である。体調を崩したり,挫折しそうになったり,家庭内ハプニングが勃発したりと,穏やかな日々は少なく,毎日のように押し寄せてくる大波小波を乗り越え,平成20年1月17日,担当教授のご同行をいただき,修士論文を提出した。感激ひとしおであり,感無量である。
修士論文は,「<高齢者観>再考?介護福祉の立場から」である。介護福祉の視点から,介護の主たる対象である高齢者をどのように捉えるかという,これまでの高齢者観を再考し,団塊世代の高齢者像について考察している。そして「高齢者は,喪失過程に生きる人々」であり,「介護は,人の自然な状態への関わり」であると私見を述べ,まとめとした。あえて調査は行わず,厚生労働省や大手新聞社等が実施している既存のデータを用いた。必要な項目だけを抽出し新たな図表を作成し,概念図や関連図等の作図により,独自性を表出している。
いろいろな方に支えられた「修了」である。担当教授である田中治和先生は,「特別な指導はしていない」とおっしゃるので,「指導無き指導」と私は表現している。言葉や文章一つ一つの意味を自問自答しながらコツコツと積み上げていく執筆過程には,「根拠をもって考える」ことが必要不可欠である。田中先生は,そのことを暗黙のうちに示し,考えずにはいられなくなるコメントをくださるのである。事務室の担当の方々にも大変お世話になった。大学を訪れた際,たいした用事があるわけではないのに,担当の方の姿を探し必ず事務室を訪れ言葉を交わしてくる。そうすることで心落ち着き安心感を得ることができていた。そして,履修した数少ない演習科目のスクーリングを通して,何人もの方と交流をもつことができた。中でも熊パパと竹さん(愛称)の二人には,情報交換や意見交換,そして叱咤激励しながら支え合ってきた。山形県?栃木県?東京都を電子メールで結んだそのやり取りは,途轍もないほどの回数になっている。この交流は生涯の友として今後も続く。また,職場の皆さん,家族にも感謝している。
これまで記したように,私の2年間を極簡略に述べることが,お世話になった方々や在籍している皆さんへのメッセージとなる。東北福祉大学通信制大学院で研究できたことに感謝と喜びと誇りをもっている。大学の名に恥じぬようさらに自己研鑽に励みつつ,もうしばらく「社会人学生」を満喫していきたいと思っている。
最後に,改めてお礼申し上げます。田中先生,ご指導ありがとうございました。事務局の皆様,お世話になりました。熊パパ&竹さん,ありがとう,そして,これからもよろしくお願いします。
在籍中の皆さん,努力してください。努力した分だけ,実になって返ってきます。努力は結果を裏切らないことを,身をもって実感した2年間でした。
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