2021/07/19 医療経営管理学科

【教員インタビュー】福田理絵助教

2021年に着任された、福田理絵先生のインタビューです。
福田先生は経験豊富な救急救命士です。2021年より、本学の医療経営管理学科の教員として、救急医学総論、救急車搭乗実習、シミュレーション実習Ⅰ、病院実習Ⅰ、リエゾンゼミⅠを担当しています。

前職は消防での勤務で、救急救命士として活躍されていたと聞いています。まず、消防士になろうと思ったきっかけは

実習で指導する福田先生
実習で指導する福田先生

大学時代の専攻は服装学で、洋服を作ったりとかファッション系の勉強をしていたので、消防士とは全く関係のない学問を勉強していました。ちょうど就職氷河期で、4年制大学卒の女子の企業就職が大変厳しくて、公務員のほうがなりやすいという風潮もあり、その中でも、一番人のためになる仕事を、と思って消防職員をめざしました。

救急救命士の資格は大学を出てから取られたのですか?

大学を出て消防士になって、仕事の中で資格を取らせていただいたという経緯です。

入職後、すぐに取得しようとしたのですか?

いえ、そこからが大変で。1995(平成7)年に就職したのですが、ちょうど女性の深夜業が解禁されたばかりで、女性が消防の現場に出ること自体が、まだ難しい時代でした。救急隊や消防隊で現場に出るという、第1段階を乗り越えるのがまず大変でした。

一番は、女性の仮眠室がなかったので、当直勤務ができるハード面での整備をお願いしないといけなかったことです。お金のかかることなので、まずは女性が現場に出る必要性を上の方々に理解していただいて、その整備をお願いして、やっと、でしたね。

望楼という火の見櫓(やぐら)みたいなところが昔の消防署にはあったのですが、最初はそこに小屋みたいなものを作ってもらって、ベッドを置いてもらって、そこでもいいから泊まらせてくれ、と。「いい部屋を作ってくれ」じゃなくて「一番お金のかからない空いてるスペースにベッドを置いてくれれば、それでいいんでやらせて下さい」というところから始まりました。

実際の現場に出るだけじゃなくて、救助の訓練で大会があるんですけど、そこに女性で初めてチャレンジしていくとか、あとは弁論大会で県の代表になるように頑張ったりとか、いろいろな努力をして、やることはやりながら要求もしていく、という感じでした。

女性の消防職員は他にもいらしたんですか?

前職の自治体では私が第1号で、女性1人のまま10年を過ごしました。

入職10年後ぐらいに庁舎が新しく建て替えられて、女性用の施設もだいぶ充実したものを作って頂けたので、そのタイミングから女性を採用できはじめました。

救急救命士の資格を取ろうとしたきっかけは

研究室の書架の前で
研究室の書架の前で

当初は消火活動で火災現場にも出動しましたが、現場だと消火よりも救護の方が女性を求めているんじゃないかな、というのを感じました。それが救急救命士をめざそうと考えたきっかけです。

消防の方の受験者数はかなりいらっしゃるようですが、現場で資格を取る場合、どのような勉強の仕方になるのでしょうか?

まず救急車に乗るために250時間の専門教育を消防学校で受けてから、実際に救急車で出動し始めます。さらに実務経験を5年または2000時間経て、初めて救命士の消防職員が行く研修所、これは約半年ですが、そこへの入校資格が得られます。実務経験をしながら救急救命士の勉強をしていく感じですね。

東北福祉大学の救急救命士課程は4年間の勉強ですが、消防職員はそれよりもっと長い時間、現場活動を通じながら勉強しています。仕事をしながら勉強なので、時間をかけないとなかなか難しいと思います。

服飾の勉強をして、消防に入って救急救命士となり、大学院に進み、いま、大学の教員となられているわけですが、躊躇とか戸惑いはなかったですか?

私は割と、最初からゴールがあって向かっていくというよりは、階段を上がって、踊り場で一旦どうしようか、と考えて、何回もその選択をしながら進むタイプ。

消防に入ったら、今度は何がしたいか一度考えて、救急に入って、今度は救急車に乗り始めてから、やっぱり最高の勉強したいなと思って救命士になって、救命士になったらその現場で隊長までやって、その後、何がしたいのか、といったら後進の育成指導をしたいと考えてここまで来ました。戸惑いというよりは、やりたい方向にフレキシブルに進んでいるのかな、と思います。

その中で今度は後進の育成と思って、教育機関に務めることを考えて、そのために大学院に入学されたのでしょうか?

5年くらい前ですけど、知り合いからやってみないかと声をかけていただいて、お話を伺ったら、やっぱり大学の先生になるんだったら修士は取った方がいいというアドバイスを受けて、じゃあ後々自分がそういう目標を選択できるように、事前にまずは勉強してみようかなと。公務員でずっと働いてきて、大学の先生、救命士学科の先生をめざして、修士を取ろうと思って、40歳を過ぎてから法政大学大学院のキャリアデザイン学研究科に入ったんです。 この研究科があるのは日本では法政大学だけで、修了したのが2019(平成31)年の3月なので、本当にごく最近です。

大学院はどうでしたか?

夜間の大学院だったので、周りも社会人ばかりで、いろんな職業の人たちと一緒にディスカッションしていく中で、自分は公務員しか見て来なかったんですけど、一般企業の会社員の方とか、看護師さんなど他の医療資格の方もいたりして、いろんな方の視点から物事が見られるようになって、すごく楽しかったです。

学生へのメッセージ

講義の様子
講義の様子
キャリアデザイン学を学んだ中で、「計画された偶発性」というクランボルツの理論に出会いました。これはキャリアの8割は予期しない偶然の出来ごとに左右されるが、そこでの行動が新たなキャリアにつながる。そして、何かが起こるのを待つのではなく、意図的に準備をし行動をすることでチャンスが生まれるというものです。

もし思い描いていたことにつまずいたとしても、それまでの行動が新たなチャンスを生み出すかも知れないし、もっと良い出会いがあるかも知れません。チャンスを引き寄せるためにも、何かにチャレンジしてみてください。

というのも、私が今ここで教員になったこともすべてがこの「計画された偶然性」によるものだと思うからです。修士を取ろうか漠然と迷っていた時、偶然、「女性消防吏員」に関わりのあるキャリアデザイン学の先生に出会い大学院に進学し、授業で偶然「防災」を履修したことから「東北」に興味を持ち、今、ここにいると思えるからです。

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