2019/10/06 情報福祉マネジメント学科

三木教授主宰劇団フィンランド公演、成功裏に終わる

情報福祉マネジメント学科の三木弘和教授が主宰する劇団I'Mが今夏、協定校であるラウレア応用科学大学や本学の後援のもとに公演を行いました。本学留学生も現地で手伝いをするなどした舞台公演は、成功裏に終わりました。その報告記を、三木教授に寄せていただきました。

シアタ—ヴァンター公演終了後の記念撮影
シアタ—ヴァンター公演終了後の記念撮影
今夏の国際交流プロジェクト、フィンランドにおける舞台公演『BENIBANA –The flowering spirit』が無事に終了致しましたことをご報告させて頂きます。
日本とフィンランドの国交100周年記念事業として「エミール?セーデル?クロイツ美術館(Harjavalta)」で開催された『Japonism Today展(後援:在フィンランド大使館)』に、東北の伝承文化の一つである「紅花」を主題とした舞台『BENIBANA』が招聘されました。

当初は美術館での舞台公演のみの予定でしたが、現地関係者のご尽力により、Pori市文化ユニットから「PROMENADI HALL(8/22)」での公演オファーを頂く幸運に恵まれました。更にはラウレア応用科学大学の教員Kati Komulainen先生とHannele Niiniö先生のご支援及びご尽力により、Vantaa市の「Teatteri Vantaa(8/26)」での上演も実現することになりました。

「エミール?セーデル?クロイツ美術館」では、2回にわたりワークショップとパフォーマンスを披露させて頂きました。1回目(8/21)は「身体と美術の対話」をテーマに、地元ピアニストと現地画家との共演によるインプロビゼーション(即興)ドローイングと舞踊のコラボレーション?パフォーマンスを地域の方々に楽しんで頂きました。
地元高校生との身体表現ワークショップ
地元高校生との身体表現ワークショップ
2回目(8/23)は、地元高校生70名余を対象にした「身体表現ワークショップ」と、「東日本大震災をテーマにしたレクチャー及びパフォーマンス」を行いました。

シャイなフィンランドの高校生たちは、最初は戸惑っていましたが、我々のリードで次第に身体を動かし、ピアノ伴奏で声を発しながら最後は大いに盛り上がり、地域の皆さまからも大喝采を浴びました。

最後は、私の創った歌詞を美術館館長自らがフィンランド語に翻訳して下さり、皆さまに感謝を込めて歌のプレゼントをさせていただきました。

現地の方々との文化的な交流は我々の願いのひとつでしたので、その実現にご尽力いただいた美術館関係者には感謝しかありませんでした。
プロムナードホールでの終演後のロビーにて
プロムナードホールでの終演後のロビーにて
「PROMENADI HALL」での舞台『BENIBANA』は、ホール関係者のフレンドリーな対応とサポートにより滞り無く、短い仕込み(準備)時間でしたが全てが順調に進行しました。本番前日は劇場の下見のみの予定でしたが、ホール側の特段のご配慮により、照明や音響等の仕込み時間を頂戴する事が出来ました。通常、日本ではありえない行程であり、異国での舞台に臨む我々への特別な敬意を感じる瞬間でした。

舞台公演は日本語での上演でしたが、言語の壁を越えた臨場感は演者と観客との間に特別な高揚感と一体感を生み出し、アンコールではスタンディングオベーションで、演者達を迎えて下さるお客様もおりました。言葉や文化の違いを乗り越えて、紅花絹布の美しさや身体を介した清閑なる日本美をご堪能頂けた様子が、観客の鳴り止まない拍手から感じられました。終演後に演者達がロビーでお見送りする際には、沢山のお客様から温かな微笑みと感謝の言葉掛けをいただき、中には演者達にハグを求めるご年配の方もおりました。
ラウレア応用科学大学を訪問
ラウレア応用科学大学を訪問
最終目的地Vantaa市では、本番前日にラウレア応用科学大学のNiiniö先生が逗留先のホテルに来て下さり、メンバー12名と共に「Teatteri Vantaa」の場所確認に同行して下さいました。公演前日の劇場見学は出来ないと言われていたのですが、現地での直接交渉の末に、会場を見せていただけるという予期せぬ幸運に恵まれました。その後、Niiniö先生のご案内で、ラウレア応用科学大学構内を見学させて頂いた事も嬉しい出来事でした。

最終公演の本番日は、東北福祉大学からの留学生3名が応援に来てくれ、舞台監督の指示のもとで美術の仕込み作業等を手伝ってくれました。開演直前、劇場の非常ベルが鳴り止まない事件が起こったり、開演中の移動に使う自動ドアが施錠されたりとハプニングの連続でしたが、演者たちが織り成す紅花幻夢な物語は、観客の温かな熱気と惜しみない声援に包まれながら無事に終演する事が出来ました。
東北福祉大学留学生たちとともに
東北福祉大学留学生たちとともに
アンコールでは、サプライズでしたがNiiniö先生とKomulainen先生が登壇されて我々全員に花束をプレゼントして下さり、舞台に華を添えていただきました。最後の最後まで細やかなお気遣いの数々に、メンバー一同、感無量でした。終了後も余韻を楽しまれるかの様に、お客様は演者たちとの歓談を楽しんでおられました。

フィンランドの人々は何処でも、何事にたいしても寛大に接して下さいました。この大らかさや寛容さ、見知らぬ他者に対する心配りや文化芸術に対する理解の深さ、そして「良い事だから、やろうよ!」という単純明快な行動力や決断力、等々。そんな人々の大いなる豊かさが、フィンランドという国の幸福度や教育水準を世界トップに押し上げる原動力になっているのだろうと感じました。このプロジエクトを通して、国際交流にとって大切なものとは何かを、その意味や意義を、沢山のフィンランドの方々から教えていただき、感謝しかありません。

日本–フィンランド国交100周年にあたり、この度の舞台芸術を通した国際交流が、両国における文化的交流の一助になれたのであれば幸いに思います。

ご助成を頂いた「スカンジナビア−ニッポン ササカワ財団」、ご後援して下さった「ポリ市文化ユニット」「エミール?セーデルクロイツ美術館」「ラウレア応用科学大学」「東北芸術工科大学」「東北福祉大学」の関係者の皆さま、それから、全国からご支援?ご声援をいただいた多くの方々に、心より感謝申し上げます。有り難うございました。(情報福祉マネジメント学科教授 三木弘和)