2023/03/07 社会福祉学科

芳賀恭司ゼミ「つるがや畑プロジェクト」フィールドワーク報告会

この報告会についてゼミ長から説明
この報告会についてゼミ長から説明
社会福祉学科の芳賀恭司准教授のゼミでは、2022年度のフィールドワークの成果を報告する「リエゾンゼミⅢ 芳賀ゼミフィールドワーク報告会)を1月31日に国見キャンパスで実施しました。

芳賀ゼミの3年次の目的は「福祉を通じての街づくり」です。学習の一環として、仙台市鶴ケ谷地域をフィールドとし、まず鶴ヶ谷の現状の勉強をして、次に特別養護老人ホームリーフ鶴ケ谷の敷地での畑づくり「つるがや畑プロジェクト」について地域包括支援センターのかたから学び、そして実際に鶴ヶ谷畑プロジェクトに参加をして、このプロジェクトで知り合った方々とのつながりを元に、福祉を通しての「街づくり」についてグループごとにテーマを設けて考えました。

報告会には報告者の3年生の他、見学の2年生と、活動地域である仙台市の鶴ケ谷地域から、鶴ケ谷地域包括支援センターの松田所長と大久保保健師、特別養護老人ホームリーフ鶴ケ谷の平松ケアマネジャーと会田相談員、鶴ケ谷畑プロジェクト尾形会長?千葉副会長?熊谷副会長が参加しました。
発表を最後まで聞くと単語がわかる「キーワード」を発表する様子
発表を最後まで聞くと単語がわかる「キーワード」を発表する様子
 はじめに芳賀ゼミから鶴ケ谷地域の方々へ、東北福祉大学の概要についての説明があり、その後、千葉グループから「コミュニティと心身の健康状態の関連性」について、渡邉グループから「畑プロジェクトとフードバンク」について、小林グループから「コミュニティの有効性と課題~住民?地域?若者のつながりを密に~」についてのプレゼンテーションが行われました。

千葉グループ「コミュニティと心身の健康状態の関連性」

人口減少や一人暮らしの増加などからコミュニティのつながりの希薄化が、コミュニティの衰退につながってゆくのではないかとの考察を元に「コミュニティと心身の健康状態がどう関係するか」をテーマとして、書籍やインターネットなどでの情報収集と、「畑プロジェクト」参加者へのインタビュー調査を実施。
  • コミュニティが身体や健康に及ぼす効果
  • 畑プロジェクトに参加することによる人との出会いや収穫の喜び
  • 会話の楽しみ、収穫物の販売で喜んでもらえたときのやりがい
  • 自分の居場所づくりになっていること
など、健康を維持するために必要な様々な活動につながっていることを報告
「つるがや畑プロジェクト」のメンバーからコメントをいただいている様子
「つるがや畑プロジェクト」のメンバーからコメントをいただいている様子

渡邉グループ「畑プロジェクトとフードバンク」

東日本大震災の被災公営住宅の住民との親睦を深めるというきっかけで始まった「畑プロジェクト」が、その後、野菜のフードバンクのような形で、地域の民生委員やケアマネージャーを通して生活困窮者に野菜を提供する活動をしていることに注目して、フードバンク活動についてグループで検討をおこなった。インタビューを通して
  • 高齢者の仲間と集まり共通の目的を持つ生きがい
  • 参加者が主体的に取り組むことができる場
  • 高齢者の運動不足の解消
  • 社会貢献が生きがいになり、参加者の生活に大きな影響を与えていること
などの活動のメリットと、宮城県内のフードバンク活動についての情報収集などを通して、活動を長期的に継続するには参加者の高齢化が問題であり、若い参加者を増やすための方策について、ゼミグループで検討した結果を報告。

小林グループ「コミュニティの有効性と課題~住民?地域?若者のつながりを密に~」

「自分たちの役割はなんだろう」「どんなことを楽しみにして活動をしているのか知りたい」「地域コミュニティの良いモデルとなるのではないかと考えられるがどうだろう」「社会福祉の専門職はこのプロジェクトにどのような立ち位置で関わることになるのだろう?」など、学生としてどのようにこのプロジェクトにかかわったらよいかを検討し、そこで「畑メンバー」による「畑プロジェクトの今後の話し合い」に参加することで、
  • 「労働力?資金不足が問題」「参加者の高齢化が深刻な課題」「若者の力が欲しい」
  • 「軸になる人がいない」
  • 「友達や知人が増えた」「豊富な種類の野菜を育てたい」
  • 「教育機関と連携してみたい」「野菜の移動販売やネット販売などをやってみたい」「民間企業とコラボしてみたい」「ボランティアを募集してみたい」「子ども食堂と連携してみたい」
など、「畑プロジェクト」参加者の考える課題や、今後の活動のビジョンなどについて知ることができた。
グループでは特に鶴ケ谷地域の少子高齢化の実態についてを研究テーマとして、人口データなどから地域の現状について検証し、人手不足の解決や多世代交流の場として子ども?子育て世代などとの新しい関係の構築などについての提案を検討した。

担当教員より

芳賀恭司 准教授
芳賀恭司 准教授
今回発表したゼミ生は、2年生の時から鶴ケ谷地区へ出向き、街の息吹きに触れ、地域の方と関わってきました。 3年生になり、被災して鶴ケ谷に移住してきた「畑プロジェクト」の皆様と畑作業を通して交流を深めてきました。 ゼミ生にはとても貴重な経験となったようですし、 「畑プロジェクト」皆様にもいい刺激になったようです。 この交流は次年度の芳賀ゼミ新3年生に受け継がれていきます。代替わりしても、交流を切らさずに長期的に「畑プロジェクト」の皆様や地域関係者と関わって行きたいと思っております。
 
 
※ このフィールドワークは大学への申請をした上で、感染症対策を行い実施しています。
※ 写真の掲載は参加者から許可をいただいています。