2024/03/01 福祉心理学科 研究

【報告】第141回心理学コロキアムが開催されました

2024年2月21日(水)に、第141回コロキアムが開催されました。福祉心理学科の吉田綾乃教授に『社会心理学的観点から社会の<分断>を解き<つながり>を紡ぐ』というテーマでお話しいただきました。以下に、発表の概要を紹介します。


吉田綾乃教授『社会心理学的観点から社会の<分断>を解き<つながり>を紡ぐ』

近年、デジタル化やSNSの普及が社会の分断を加速させているとの指摘があります。これまでに、分断や極性化の背後には人々の実行機能の低下があることが指摘されてきました。例えば、実行機能の低下は、自己制御を損ない偏見や差別行動を促進すること、攻撃行動の増加や外集団成員の排斥?非人間化を引き起こす可能性があること、異質な他者との円滑なコミュニケーションを阻害することなどが明らかになっています。一方で、優れた実行機能(認知能力の高さ)が自らのイデオロギーやアイデンティティに沿った情報処理を促し、分断を生むという研究結果も報告されています。発表では、行動免疫システム仮説(Schaller, M)の観点から行われた2つの研究が紹介されました。(感染をもたらす危険な)外集団成員を回避するという感染回避目標が活性化した場合に、実行機能が優れた者ほど外集団成員に対する否定的態度が強まること、集団間共感バイアスが強まることが報告されました。そして、分断の解消には、「認知的枠組み(イデオロギーやアイデンティティ)への教育的介入」、公平?平等な自己制御目標の活性化を促す「環境整備」と「実行機能トレーニング」という複合的なアプローチが必要であることが指摘されました。最後に、つながりを紡ぐ試みとして、実践に関わっている早稲田大学の兪炳匡教授が開発した「健康教育プログラム」と、東北大学医学部の虫明元教授によるRISTEX「社会的孤立?孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築」プロジェクトが紹介されました。
第141回コロキアムには教員12名が参加しました。発表後には活発な質疑が交わされ、盛会のうちに終了しました。 

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