2023/09/28 福祉心理学科 研究

【報告】第140回心理学コロキアムが開催されました

2023年9月20日(水)に、第140回コロキアムが開催されました。福祉心理学科 助教の朝岡陸先生から「短音で挟むことによって生じる視覚的時間知覚の短縮効果」、助教の名和界子先生から「成人期自閉スペクトラム症のアタッチメントスタイルについて?ロールシャッハ法からの接近?」というテーマでお話しいただきました。以下に、発表の概要を紹介します。


朝岡 陸 助教『短音で挟むことによって生じる視覚的時間知覚の短縮効果』

本発表では、時間知覚における視覚と聴覚の相互作用現象について報告しました。単一の視覚刺激(一秒以下)の持続時間を判断する際、その直前と直後に短音が提示されると、そうでない場合より時間知覚が短くなるという現象があります(短縮効果)。この現象のメカニズム解明を目指し、二つの実験を行いました。実験1では直前と直後の音のどちらが365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@なのか検討しました。その結果、短縮効果が生じるには両方の音が必要であることが示されました。実験2ではベイズ的アプローチを用いて短縮効果の予測を試みました。その結果、視覚刺激に対する知覚時間と2回の短音に対する知覚時間をそれぞれのばらつきに基づいて加重平均し、短縮効果をうまく予測できることが示されました。これらの結果から、視覚と聴覚のそれぞれの時間情報をベイズ的に統合することで短縮効果が生起することが示唆されました。

名和 界子 助教『成人期自閉スペクトラム症のアタッチメントスタイルについて?ロールシャッハ法からの接近?』

本発表では、自閉スペクトラム症(ASD)のロールシャッハ?テスト反応をアタッチメントスタイル別に比較?分析した結果を報告しました。協力者たちのアタッチメントスタイルは回避型と恐れ?回避型に分けられました。結果として、恐れ?回避型は回避型よりも人間運動反応Mと相互自律性尺度MOA得点が高いことが示されました。回避型は他者や刺激と距離を保ち、事実や記憶に頼る傾向があり、恐れ?回避型は他者との親密さを求めつつ、他者への不安や被害感のために過度に空想的になることにより、現実検討力が低下する特徴が見られました。他者との関係に対する高い反応性は、必ずしも社会適応に良い結果をもたらすわけではなく、むしろ対人関係への恐れや否定的な自己理解につながる可能性が示されました。この複雑で矛盾した反応や行動は、特にASDの軽度または高機能のケースで顕著に現れると推測され、支援において考慮すべき365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@なポイントであると考えられました。 
第140回のコロキアムは、教員10名、職員1名、学生8名が参加しました。それぞれの発表後には活発な質疑が交わされ、盛会のうちに終了しました。

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