【アドバイス】 レポートの書き方
教授 木村 進
「レポートの書き方がわからない」という声が多く通信教育部に寄せられていると聞きましたので,「レポートの書き方」について,私見を述べてみたいと思います。「私見」というのは,この場合のレポートとは,それぞれの科目における学習課題を意味しており,それは個々の担当教員の意図によるものだからです。つまり,それぞれの課題を設定した教員によって,レポートの書き方についての考えが異なる場合もあることを意味しています。ですから,ここには一般的なことを書いておきますから,それを踏まえて,担当の教員とのやりとりを通して応用するようにしてください。
手順1 テーマ分析が必要です
レポートのテーマ(課題)というものは,一定の内容を期待して出されています。ですから,そのテーマは,いったいどのような内容を期待しているのかということを,まず明らかにする必要があります。これが「テーマ分析」です。
テーマによっては,何を書かなければならないかが具体的に明確に示されているものがあります。その場合は,テーマ分析に苦労しなくていいわけです。しかし,中には,テーマが抽象的に示されており,一読しただけでは何を書けばいいのかがみえないという場合があります。そういう場合には,テーマ分析が365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@な意味をもってくることになります。
もっとも初歩的な段階を想定すると,そのテーマについてほとんど知識がなく,何が何だかわからないということもあるかもしれません。その場合は,テーマのことは別にしてまずそのことについての基礎的な学習をすることから始める必要があります。その基礎学習を終えた後にテーマ分析をすることになります。
テーマ分析というのは,結局,レポートに書かなければならない内容について具体的に検討するということです。ですから,最終的には,いくつかの短い文章や言葉にまとめられることになります。これを,1枚に1つずつカードに書いておきましょう(その理由はだんだんわかってきます)。
例えば「老年期の生きがいとはどういうものか考えてみよう」というテーマの場合,まず(1)「生きがいとは何か」ということで,生きがいの定義は書かなければならないでしょう。次に,(2)「老年期の生きがいは何か」ということを明らかにする必要があります。上記のテーマでは,ここまで書けば十分とも解釈できますが,「どういうものか」という問いかけの中には,「どういう意味をもっているか」ということも含まれていると考えれば,(3)「生きがいのもつ意味」も書いておいた方がいいかなということになります。
手順2 材料を集める
レポートというものは,たいていの場合,あなたの意見や経験を聞くものではなく,客観的な裏づけのある材料を集めて,テーマにそってまとめるということが期待されています。したがって,次の段階は,材料集めにとりかかることになります。
指定されたテキストがある場合は,まず,テキストの中で材料を探しましょう。テキストがない場合でも,参考文献は指定されているはずですから,指定された参考文献を読んで,使えそうな内容を探します。使えそうな内容が見つかったら,それをメモ程度にまとめて,これもカードに書いておきます。
この段階で,上記手順1のカード別に手順2で作ったカードを並べて内容を検討します。つまり,手順1の時に書きたいと思った内容に照らして手順2で探し出した内容で十分かどうかを検討するわけです。十分だと判断されたら次の段階に進むわけですが,1冊だけ読んで書いたレポートでは「不合格」(再提出)と評価される危険がないわけではありません。なぜかというと,通信教育におけるレポートは,「これだけ勉強したよ」というアピールでもあるわけですから,「1冊しか読まなかったのか」ということも評価の対象になる可能性があるのです。
したがって,十分だと思われた場合でも,内容を補強するために他の文献からも探してみた方がいいでしょう。上記の例でいえば,(1)の定義にしても,できたら2?3人の定義を挙げてその上で,「ここでは,以下のように定義しておく」と書くと学習の成果がよくわかります。同じく,(2)や(3)についても,何人かの研究者が明らかにしていることを書いた後でまとめるという作業をするのがbetterです。
手順3 内容を組み立てる(目次を作る)
十分な内容がそろった後,内容の組み立てを考えます。手順1のカード別に手順2のカードを並べて,順序を考えるという作業です。ここで考慮しなければならないのが字数ということです。学部は2,000字?大学院は4,000字以内ということになっていますので,そのことも頭に入れながら,組み立てを考えていきます。望ましくないレポートというのは,字数のバランスを考慮せずに書いていって,最後の方で書き足りなくなってしまうようなレポートです。ですから,集めた材料を検討しながら,字数のバランスにも気を配ってください。したがって,材料としては集めたが,紙数の関係で使えないものも出てくるかもしれません。それが学習ということなのだと思います。
この作業は,レポートの内容の目次を作ることにもなります。2,000字程度で目次が必要かどうかは,担当する教員の判断によると思いますが,4,000字の場合は必要です。それは同時に,ただ内容を書き連ねるのでなく,大きくいくつかの部分に分けてまとめるということを意味しています。上記の例では手順1で3つに分けてあるので,それぞれを小見出しとして,分けて書いたほうがいいでしょう。4,000字の場合は,3つの小見出しの中で,それぞれ2つ程度の部分に分けて書くと,書きやすいし,また読みやすいレポートになります。上記のカードを使うやり方は,この部分に効果的です。
手順4 レポートを書く
いよいよレポートを書き進める段階になるわけですが,以上のような順序を経て準備が進められれば,レポートを書くことはそう難しいことではないと思われます。いくつかの留意点を挙げておきます。
- 「である」調で書くか「です?ます」調で書くかについては,それぞれの好みや慣れもあるでしょうが,「である」調で書くのが一般的です。
- 文献からの引用がわかるような書き方をしてください。「○○によると」とか「……と○○は述べている」というような書き方です。誰かの考えなのか自分の考えなのかがはっきりわかる書き方が望ましいのです。
- 最後に,レポートを書くための学習を進めて,「自分としては何がわかったか」というようなことを「終わりに」として書くとまとまりが良くなります。また,参考文献?引用文献を,最後のページに必ず明記してください。
- いずれにしてもレポートをとおして指導教員としっかり対話してください。