【現場から現場へ】
[OB MESSAGE] 福祉行政の変化
いわき市いわき福祉事務所 福祉課 課長補佐
宮田 英夫
私は，昭和43年4月に入学，学生寮に入りました。当時は，高校生も同じ寮に寄宿しており，2カ年悪い影響を与えてまいりました。大学生はお酒を飲んでは大騒ぎし，夜遅くまで議論はする，寮の掃除はされていない，学生運動が盛んな時期でもあり，騒動をたびたび起こすなど変化に富んだ4年間でした。
また，学校自体が老朽化しており，壁は崩れ落ち，校庭は狭く体育の授業にも事欠く状態でしたが，今の学校環境は比較にならないほどすばらしくなったことがうれしく思います。
昭和47年3月に卒業，と同時にいわき市社会福祉事務所平事務所を皮切りに，生活保護ケースワーカー，児童，身体障害者援護業務で30年のうち3分の2は現場で仕事をしてきました。
いわき市は，昭和41年10月，5市4町5村が合併して誕生，東西39キロメートル，南北51キロメートル，面積1,231.13平方キロメートル，日本一（平成15年4月からは静岡市が日本一）広い市域をもち，人口は33万人，5福祉事務所が設置されていました。
当時の福祉事務所予算は，44億円（市全体が216億円）でしたが，現在の予算は316億円（市全体で1,223億円）と7倍強となっており，他の市予算と比較して民生費が著しく伸びています。その使途は，全国でも指折りの高い保護率だった生活保護行政に予算の50％を充当していましたが，現在では20％と予算配分も変化してきました。適正な生活保護行政に尽力した成果が出たことと，保健?福祉行政の変化が予算編成にも表れております。近年の少子?高齢化の進展，急速に進む高度情報化や国際化，あるいは住民意識の多様化などにより，私たちをとりまく社会環境は大きく変化しております。
国においては，これまでの社会福祉のあり方を抜本的に見直す社会福祉基礎構造改革に着手し，平成12年4月介護保険制度がスタートしました。
この構造改革は，改正社会福祉法第3条に「福祉サービスは，個人の尊厳を旨とし，その内容は，福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され，またその能力に応じ，自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして，良質かつ適切なものでなくてはならない」と規定しており，措置制度とは異なり，個人の考え，意思によるサービス選択による契約を締結することとなってきました。
利用者の満足のいくサービスを事業者が提供できるようにするためには，今までの措置制度で行っていた画一的サービスを変える必要が出てきたわけですが，措置制度を担ってきた公的サービス機関，社会福祉法人の事業者は，規制緩和に伴う，その他の民間事業者とサービスの質を競うことになってきたわけです。
このため，施設独自のサービス情報を提供する情報公開や，宣伝などによる施設利用者および利用希望者への周知，第三者評価事業，苦情処理窓口の設置等によるサービスの質の向上を目指すことが必要となってきました。質の高いサービスを創造するためには，職員の高い技術，技能および資質が必要条件となり，学校および専門技術を指導する専門機関による勉強，訓練が身近でできる環境づくりが365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@になってくると考えています。
今回の東北福祉大学通信教育部ができたことで，自宅で学べる環境が整ってきたことは，大変喜ばしい限りと思って，毎回，受験生の皆様の試験監督を勤めております。
仕事をしながら資格をとるためには，家庭の協力，職場の協力が不可欠となりますが，なかなか勉強する時間やスクーリングに行く時間調整が困難で卒業できるかどうか不安とのお話を伺っております。「継続は力なり」ということわざがありますが，最後まであきらめずにやり遂げていただきたいと願っております。
けっしてその努力は無駄にはならず，自分のためは勿論のこと，家庭や仕事に関係する周りの人たちの幸せにつながると信じております。
