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【現場から現場へ】

[関連施設紹介]
「もう一つのおうち」国見ケ丘せんだんの杜保育園

せんだんの杜 杜長
中里 仁
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 これまでの号では,要支援?要介護と認定された方々も含め,高齢者の方々が「住みなれた街(地域)」で「その人らしく」暮らしていただくための各種在宅サービス(総合相談,ケアプラン作成,ホームヘルパー派遣,デイサービス,ショートステイ,これらの機能を複合的に有した小規模多機能事業等)と居住サービス(ケアハウス,グループホーム,指定介護老人福祉施設等)を提供している「フェリコ館」や「リベラ荘」の紹介をしてきましたが,今回は,せんだんの杜の児童福祉部所管事業であります「国見ケ丘せんだんの杜保育園(以下,せんだんの杜保育園)」についてご紹介いたします。

●「もう一つのおうち」せんだんの杜保育園

 せんだんの杜保育園は,東北福祉大学の国見ケ丘第3キャンパスをお借りして事業を行っているフェリコ館やリベラ荘のすぐ隣の敷地に平成11年4月1日,仙台市内の保育園待機児童緩和策の一貫として60名定員(現在は90名定員)の事業所として開設されました。ちょっと話しがずれますが,保育園が開設される以前,この場所は東北福祉大学テニス部の練習コートでした。
 ここで,せんだんの杜保育園の「保育内容」について,保護者の方々に配布しているパンフレットから抜粋してご紹介してみたいと思います。
 『せんだんの杜保育園は「居心地のよい保育園」であるよう,家庭的な保育を目的としています。お父さんとお母さんと一緒に過ごせない時間を安心して過ごせる「もう一つのおうち」でありたいと思うからです。子どもたちにとっては無条件に愛し,共に喜び,共に悲しんでくれるお父さんとお母さんとずっと一緒にいるのが一番です。でも,いろいろな事情で子どもたちが親と離れて心細く不安な気持ちになったとき,私たちはいつもそばにいて共感できる「おとな」でありたいと思っています。家庭のあたたかさやぬくもり,やさしさや思いやりを感じることを通して子どもたちと喜びや悲しみなどを共感できる生活をしていきたいと思っています。そして,その生活の中で子どもとおとなが育ち合うことを大切にしていきたいと考えています。各年齢の担任のおとなだけがその子どもたちと遊んだり関わったりするのでは,育ち合いの幅が狭いものになってしまいます。一人でも多くの違う個性を持つ人との関わりの中からいろいろなことを学びとって欲しいと願っています。また,一人ひとりの個性を認め合い,その人らしさを見つけるために,おとなの呼び方は「先生」ではなく,名前で呼ぶことにしています。保育園では「明るく,心身ともに元気な子」を目標に遊びの中で「生きる力」を育んでいきたいと考え,保育を進めてまいります。』
 この保育内容を読まれて何をどう感じられたでしょうか。それぞれの方の「保育観」の違いや「保育制度内容」との比較などなどから,いろいろな感じ方があることと思います。でも,それらの「違い」を認め合う教育や社会こそが「成熟した社会」なのではないでしょうか。

●せんだんの杜保育園では「こんなことをしています(事業内容)」

1 普通保育 これは,保護者が働いているか,または病気などのためにお子さんの保育ができない場合に保護者に代わって保育サービスを提供するものです。
2 一時保育 週3日以内の仕事や入院?通院?介護などで一時的に保育が必要な方へのサービスです。
3 延長保育 通常の保育時間を超えた午後6時から午後7時までの保育サービスです。
4 障害児保育 ハンデイキャップのあるお子さんたちも一緒に過ごし,ともに育ちあえる保育サービスです。
5 子育て支援 子育てに関する相談,気楽に集まり交流できる子育てサロン,サークル活動の場の提供など,地域で子育てをしている家庭,人と人をつなぐ支援サービスです。

 以上が,現在せんだんの杜保育園でおこなっている主なサービスです。そして,乳児(ひよこ)9人,1歳児(ぺんぎん)11人,2歳児(かもめ)12人,3歳児(つばめ)18人,4歳児(にわとり)18人,5歳児(はくちょう)18人,一時保育(はと)平均10人の子どもたちが,24人の職員たちと100人近いお年寄りと共に一緒の時間を過ごしております。

●人と人とが育てあう

 「100人近いお年寄りと共に一緒の時間を過ごしております」と書きましたが,保育園ではクラスごと時間を決めずに週1回から2回程度の割合で,隣のリベラ荘やフェリコ館へ遊びに行き,利用者の方々から折り紙やお手玉を教わったり食堂や部屋で遊ばせてもらったりしていますが,その時の子どもたちとお年寄りたちの表情は「世代間交流」という「言葉」をはるかに超えた生き生きとしたものであり,まさに「人と人とが育てあう」そんな暖かな時間を感じます。
 また,この他にも近くの貝ヶ森小学校や仙台高校,仙台女子商などの学生が授業の一貫として保育園を訪れ,相互の交流をおこなったり,東北福祉大学の実学教育実習の場としてもその役割を担っております。
 次回は,「せんだんの家」(児童自立生活援助ホーム)のご紹介をさせていただきます。

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