2024/12/10 医療経営管理学科 リハビリテーション学科 保健看護学科 仙台元気塾

健康科学部の3学科と地域創生推進センターが連携した研究成果が「保健師ジャーナル」12月号に掲載されました

このたび、健康科学部の3学科(保健看護学科、リハビリテーション学科、医療経営管理学科)と地域創生推進センターが連携して実施した調査研究が、医学書院の雑誌「保健師ジャーナル」12月号に掲載されました。本研究は、世代間交流が高齢者と若者の意識や心理的健康に与える影響を探り、保健医療職を志す学生の教育プログラムや地域社会での実践に資する知見を提供するものです。

仙台元気塾での世代間交流の様子①
仙台元気塾での世代間交流の様子①
調査の背景と概要
厚生労働省によると、入院患者の約74%が高齢者であることから、保健医療職には高齢者に対する多面的な理解や尊厳を持った態度が一層求められています。一方で、家庭や地域社会での異世代交流が減少する中、世代間の否定的なイメージが課題として指摘されています。本研究では、大学1年生と健康増進活動に参加する高齢者を対象に、世代間の否定的態度の特徴を調査し、多世代交流を取り入れた教育プログラム開発の基礎資料とすることを目的としました。

主な調査結果
本研究では、高齢者の活動能力や孤独感が、若者に対する否定的態度に影響を与えることが示されました。特に活動能力が低い高齢者ほど、若者に対する「嫌悪?回避」の否定的態度が強くなる傾向が強く見られました。一方、大学生では高齢者に対する否定的態度が交流の回避に関連しており、孤独感のスコアは大学生の方が高齢者より有意に高い結果となりました。世代間交流への参加意向については、高齢者の約8割が肯定的な意向を示しましたが、生活に使う新しい機器を使いこなす能力などの活動能力が低く、孤独感が強い場合には交流に消極的な傾向が見られました。

これらの結果は、世代間交流が心理的健康や社会的つながりに寄与する可能性を示唆する一方で、否定的態度を解消するためには背景要因を深く理解し、それに応じた支援が必要であることを浮き彫りにしました。


仙台元気塾での世代間交流の様子②
仙台元気塾での世代間交流の様子②
学内での取り組み
本学では、世代間交流の場として仙台駅東口キャンパスにある仙台元気塾(https://www.tfu-ac.net/)を運営しています。この事業では、地域の高齢者と学生が交流を深めるさまざまなプログラムを実施しており、学生が高齢者の視点を学び、コミュニケーション能力や相互理解を育む貴重な機会となっています。

本研究の知見は、このような学内外の地域貢献活動をさらに充実させる上で365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@な基盤となり、地域社会における多世代交流の可能性を広げることが期待されます。研究成果を基に、世代間交流の意義を広め、将来の保健医療現場で求められるコミュニケーション能力や相互理解を深められる環境づくりを目指します。

掲載情報
河村孝幸、鈴木玲子、八重樫愛子、佐藤晃子、川﨑善徳、田邊素子(2024)世代間の否定的態度に関連する要因と交流意向への影響—健康増進活動に参加する高齢者と保健医療職を志す大学生に対する調査から—.保健師ジャーナル80巻6号:514-521.

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