2022/12/26 社会福祉学科

卒業生 松本敏希さんインタビュー詳細編:障がい者福祉の仕事

社会福祉学科卒業生の松本敏希さんのインタビューは、Google meetで行われ、松本さんが在学中に指導した三浦剛先生、阿部利江先生、佐藤泰伸先生も参加されました。ここでは障がい者福祉施設での仕事について、「東北福祉大学のDNA」には掲載できなかった、先生方からの様々な解説も含めて紹介します。

福島県の田村市、三春町、小野町、相馬市、いわき市
福島県の田村市、三春町、小野町、相馬市、いわき市

-現在の勤務先と仕事内容について教えてください

社会福祉法人福島県福祉事業協会?田村地方基幹相談支援センターで相談支援専門員として働いております。当法人は「田村?相馬?いわき」を中心に、児童から成人まで、通所から入所まで幅広く障がい福祉サービスを展開しています。

私の勤務している田村地方基幹相談支援センターは、365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@3年4月から福島県の田村市?三春町?小野町の3市町より、基幹相談支援センター業務を受託し、

  • 「総合的?専門的な相談」
  • 「地域の相談支援体制の強化」
  • 「地域移行?地域定着の促進」
  • 「権利擁護?虐待防止」
という4本の柱を中心とした相談支援体制の整備と、人材育成に取り組んでいます。障がいの種別や手帳の有無にかかわらず、幅広く相談に応じる総合相談窓口として、糸をつむぐように、人と人をつなぎ互いに支え合うことができる地域づくりを進めていきたいと考えています。

 

-基幹相談支援センターについて教えてください

松本さん:基幹相談支援センターは、社会に開けた総合相談窓口です。元々市町村事業の一つですから、市町村が基本的には総合相談として、何に関する相談も受け付けられる場所という事業展開になっています。やはり最近では障がいのある無しにかかわらず、引きこもり、ご家族の不安感の相談など、様々な相談がありますが、どんな相談でも基本的にはワンストップで受け付けます。

相談支援事業だけで解決するのではなく、療育事業所などのサービス事業所をはじめとした様々な資源をつなぎ、チーム作りをするために私たちが段取り?調整役という形で関わることが業務の基本となっています。

インタビュー中の松本さん
インタビュー中の松本さん
 

-地域移行、地域定着の促進というのは、具体的にどのようなことでしょう?

松本さん:地域移行?地域定着の促進としましては、障がいのあるなしに関わらず、地域で住み慣れた場所で生活していこう、という国の方針が出されております。入所施設や精神科病棟に入院している方々に対して、住み慣れた、もともと住んでいた場所で住んでいくのか、という本人の意思確認を行い、地域で支えられるような仕組みを作っていくということと、それに関しての広報啓発活動などを行っております。


-どういった立場の方と、一緒にお仕事をされているのでしょう?

松本さん:基本的に行政の委託事業ですので、行政担当者とは密にお話する機会をいただいています。仕事上の関わりとしては、相談支援専門員自体が障がい福祉における専門資格ですので、やはり障がい福祉事業所や障がい分野のプロとしての関わりが深いと思っています。

しかし、基幹相談支援センターには横の連携を高めていこうという姿勢が求められています。当圏域においても重層的支援体制整備事業ということで、「障がい」に限らず、他分野と関わっていこうという方向性が示されています。高齢者や、引きこもり、生活困窮、学校、子供の分野との連携ですね。

例えば私も、学校めぐりを相談支援の方と一緒にしたりとか、あとは社会福祉協議会の方と一緒に、生活困窮の方にフードサポートを届けたり、本当にいろんな人とつながりを毎日作っていることろです。

そのつながりが、たったひとりの誰かが困った時に力になる、と私は思っています。自分が力をもっていたとしても、また知識をもっていたとしても、そのような繋がりがなければ、支援のチーム作り自体が難しいと思います。

先生方に伺います

-こういったお仕事をされる方は、卒業生の中で多いのでしょうか?

オンラインインタビューに参加の三浦剛 教授
オンラインインタビューに参加の三浦剛 教授
三浦剛教授:そもそも、最近、障害者支援の領域へ進もうという学生が少ないんです。基幹相談支援センターというのは、その地域の障害者支援の中核的な役割を担うわけで、自分の事業所の仕事というより、地域づくり、地域の人材育成など、とても広い視野で仕事することが求められるのです。そのような仕事をするということは、まさにソーシャルワーク実践そのものと言ってもいい。松本君のお勤めの社会福祉法人も、福島県の田村から浜通り地方の市町村を管轄しています。原発事故の被災地でもあり、まさにまちづくりが求められている地域です。このような地域の「顔」となってソーシャルワーク実践を行うことはとても魅力的ですよね。

このような仕事は、主任相談支援専門員という資格で担当することになります。従来の障害者支援、施設での支援に中核的な役割を担う東北福祉大学の先輩たちは数多くいらっしゃいますが、この松本君のような新たに求められる地域の課題に向き合う仕事に取り組んでいる人はまだ少ない。

- 阿部先生いかがですか?

阿部利江 講師
阿部利江 講師
阿部利江講師:社会福祉学科には社会福祉士の資格取得を目指す学生が多く在籍します。
しかし、学生が卒業後のキャリアを考えたとき、松本君が活躍しているフィールドを挙げることは難しく、見えていない「場」かと思います。身近にあるソーシャルワーク実践の場として、今日、期待されているものの、学生がそのフィールドを知り、そこで体験することや学びを得る機会は限られています。先日、同じようなフィールドで活躍する卒業生から話をうかがった際、ゼミ学生たちは「地域をつくる」仕事への可能性を魅力的に感じていました。
社会や地域の価値を創造できる福祉人材を、ぜひ、伝統と進化し続ける本学?本学科から増やしていきたいですね。

-先生方、障がい者の支援などについて、補足をお願いします。

三浦剛教授:日本の障害者支援は2000年の社会福祉基礎構造改革を機に、大きく変わりました。これまでどうしても施設での支援が中心となりがちだったこの分野に、地域生活を支援することを中心に据えることになりました。「同じ人間」なのになぜ障害があるから施設で暮らさなくてはならないのか。障害ではなく一人一人の違いに、社会、環境が柔軟に合わせられないから「障害」が起きているということに、なかなか世の中は気がつきません。多くの人が「足で移動する」から「車椅子で移動する」人のために、隅っこにスロープを作ればいいというのは差別なのです。いろいろな人がいることを、世の中の前提として考えていくようにならなくてはいけません。松本君の携わっている「地域をつくる仕事」では、このような人々の考え方を変え、すべての人が受け手と担い手になれる、すべての人の価値を認めあえるような社会、地域を作る仕事であり、そこことが今、最も求められているのです。