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【学習サポート】

[社会心理学] 社会心理学を学習するにあたって

助教授
佐藤 俊人

 レポ?ト課題集にも紹介していますが,社会心理学は「なぜ,その場面である人がそのように行動したり,判断したりするのか」を解明しようとする心理学の一分野です。私たちは常に,その場その場で何らかの行動や考えを持ち続けているわけですから,人間が生活している限り,そこには社会心理学がかかわっていることになります。
 そのような社会心理学の学習にあたり,いくつかの提案をしてみたいと思います。

●1 自分の中にもある社会心理学

 まずは,自分自身の毎日の行動や判断を少しでも振り返ってみよう,ということです。自由に振る舞っているように感じても,実際は周囲の人に気兼ねしたり,他の人の意見に左右されたり,店で店員の方に勧められてつい不要なものまで買ってしまったり,と後で振り返ると「どうしてだったんだろう?」と思うことがたくさん思い出されるのではないでしょうか? そんな時,自分の行動や考え方が「他の人の表情,意見や態度などに影響されていた」と少しでも感じたのであれば,そこにはきっと社会心理学の365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@な研究対象が潜んでいると思います。ですから,社会心理学のレポ?ト作成にあたっては,テキストや参考書に記述されている例だけではなく,できるだけ自分自身が体験した具体的な例を挙げていただければと思います。
 社会心理学に限らず,人間を考える場合の姿勢として,私は「まず自分のことを考える」ことを大切にしたいと思っています。他の人の行動を客観的に観察?分析することも大切ですが,自分がその時どうだったのかを振り返ってみることにより,社会心理学をより身近な学問として考えられると思います。

●2 自分のことばで説明してみよう

 このように本来身近な社会心理学ですから,あまり難しい専門用語を使わなくても説明できる現象がほとんどです。テキストや参考書には,かなり多くの理論や専門用語が使われていますが,それを「自分のことばで置き換えて説明」していただければうれしいです。
 今回のレポ?トは,テキストに書かれているものをまとめただけでも,その最低限の課題はクリアできるものです。しかし,せっかく理論や専門用語がレポ?トに書かれていても,本当に自分のものとして理解されているのか,それともテキストからピックアップして並べただけなのか(失礼!)の判断が迷うレポ?トもあります。その時,ある程度自分のことばに置き換えて記述してあれば,きちんと理解されているかどうかが伝わってくるものです。
 レポ?トはある意味,自分の理解度を科目担当者に伝えるプレゼンテ?ションです。「自分はきちんと理解できている」と,私を「説得」してもらえたら,私の「態度」にも影響すると思います。

●3 他の研究分野との関連

 次に,今回の社会心理学の研究をここで終わらせず,将来的に他の心理系科目と関連づけて考えることを目指してください。はじめに書いたとおり,社会心理学は「その場,その時の心理学」です。人間の心にはもっと安定した部分がたくさんあります。信頼している人に同じように説得されて,意見を変える人も変えにくい人もいます。すると「人格」も考えなければなりません。その人がなぜそのような「人格」になっているかを考えるためには「発達心理学」も大切です。また,他者を断片的な情報から判断することの危険性に興味を持った方は,相手をそのまま受け入れることを大切にする「カウンセリング」も研究していただければと思います。このように他の研究分野と関連づけることにより,人間についての興味がますます広がっていくと思います。

●4 さいごに

 社会心理学の科目修了試験では,レポ?ト課題がどれだけ自分のものとして理解されているか,という確認を中心に考えたいと思っています。理論や専門用語をそのまま覚えることも大切ですが,それらをきちんと理解した上で,どのような反論や限界を感じたのかなども考えてみてください。情報を得た上で,その情報に対して自分なりに積極的に考えてみるという姿勢は,みなさんの今後の活動に大きな味方になるのではないでしょうか。

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