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VOL.41 JANUARY 2007

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[社会福祉援助技術演習I] スクーリングを終えて

講師 君島 昌志

 社会福祉援助技術演習Iを担当しています。今年度は川口,東京,新潟を会場としてスクーリングを4回行いました。この科目を担当して3年になりますが,いつも,どんな人たちが受講するのかいつも緊張しながら会場に向かいます。
 演習形式の授業ですから,こちらが一方的に伝えていく授業ではなく,学生ひとりひとりが主役であることを大切にしています。そのため,発言していただく回数も多くなりますし,どんな発言が飛び出すのか,ワクワクする反面,ドキドキしているのも正直なところです。というのは,長年,福祉の仕事をしてきてしっかりキャリアを積み重ねてきた人もいれば,今年から福祉の勉強を始めたばかりの人もいますので,誰もが対等な立場で安心して発言したりロールプレイに参加できるように留意して授業を進めていくこともあるからです。そして,ベテランの方にとってはロールプレイを通して利用者理解の原点に立ち返る機会となったり,これから福祉の仕事をしようと考えている人にとっては擬似的な体験を通して援助の基本を学んだりと,ちょっと大げさかもしれませんが,2日間で学生どうしがお互いを高め合う,グループ?ダイナミックスが形成されていくこともありました。

 授業はあまり机を使用せず椅子だけで車座になって,社会福祉援助技術の方法論の一つであるグループワークを実際に体験しながら進めていきます。特にロールプレイを多用して,だれもが利用者と援助者それぞれの立場になって,利用者理解について一緒に考えていきました。
 利用者理解のためには,最初に援助者として必要とされる知識や技術を学びたいと考えるのが受講者の気持ちかもしれません。しかし,今回の授業では,まず,利用者の側に立つような場面を意図的につくり,援助者からの働きかけに対して利用者としてどう感じたか,どんな気持ちになったか,ひとりひとりの「気づき」から利用者の立場を考えていくことを大事にしました。そして,ロールプレイの後,車座になって感想を述べあい,他の受講者の感想を聞くことで,またひとりひとり,受けとめ方が違うことがわかったりして,さまざまな価値観があることがよく理解できたかと思います。
 また,感想を述べあうなかでも,「一般的には」「社会では」といった言葉を主語にせず,まず自分がどう感じたか発言してもらうようにしました。そして,批評されたりせず,最後まできちんと聞いてもらえるなかで,援助者のあり方について理解が一層深まっていったのではないでしょうか。
 さらに,利用者理解を学んでいながらも,しだいに自己覚知につながっていったことと思います。ロールプレイを通して,自分自身と向き合うこととなり,ありのままの自分が見えてきて,なかには,ちょっと苦しくなってしまった人もいるかもしれません。しかし,利用者など他人を理解するためには,自分を知り,まず認めることから出発することはとても大事だと思います。等身大の自分を認めることができるようになって初めて,他人を認めたり肯定したりできるようになるのだと思います。

 今後,さらに社会福祉援助技術を学んでいくうえで,知識や技術を体系的に学ぶことも大事ですが,日常生活においても,他者との関わりのなかで自己のセンス?感性を研ぎ澄ませておく努力が必要だと思います……それは教員も同じですね,これからもお互いに学びあっていきましょう。

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