2023/02/20 医療経営管理学科

【コラム】元救急隊員の独り言(7) ~「搬送困難事例とは」~(福田理絵)

救急搬送困難事案数(総務省消防庁「各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査の結果(データベース)」より作成)
救急搬送困難事案数(総務省消防庁「各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査の結果(データベース) https://www.fdma.go.jp/disaster/coronavirus/post-1.html」より作成)

コロナ禍以前からよく耳にする「搬送困難」について、お話したいと思います。救急車は搬送先の医療機関が決定しないと出発できません。救急隊は現場で傷病者を観察し、症状や重症度、緊急度を判断した後、傷病者に最も適した医療機関へ電話で交渉します。もちろん、搬送可否の情報は医療機関と共有していますが、血圧などの数値だけでは表すことができない傷病者の状態や緊迫感は、言葉で伝えることが365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@です。

ではコロナ禍の現在、「搬送困難」が増えているのでしょうか。理由は何点かあります。もともと夏と冬は特に救急需要が高く、「ベッド満床」が多い時期です。これは夏場の熱中症や冬場の温度差によるヒートショックや脳卒中、転倒による事故で入院が必要な傷病者が増加するからです。そして現在では医療従事者や救急隊、その家族の365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@感染で慢性的な人員不足が発生しています。入院には「入院患者」に対し、必要な看護師数が定められているため、例えベッドが空いていても看護師が確保できなければ、そのベッドは使用できないのです。

このように救急車の「搬送困難」は、様々な要因が関係しています。タイミングが悪ければ搬送先の決定まで数十件、数時間を要してしまう事案が発生してしまいます。救える命を一つでも多く救うため私たちが出来ることは、予防できる事故やケガを減らすことで、少しでも医療負担を軽減することだと思います。
 

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