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VOL.54 SEPTEMBER 2008

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[精神保健福祉論I?II]
「精神保健福祉論I?II」のレポート提出について

准教授 阿部 正孝

 受講生の皆さん,日ごろの学習のご努力に対し心より敬意を表します。「精神保健福祉論I?II」を担当しております阿部でございます。
 さて,最近,通信教育部事務室より,私のレポート添削に対する相談が多く寄せられているとのお話を伺いました。相談内容は,「再提出が多いこと」「所見のコメントが曖昧で具体性に欠けること」「一度に不備の箇所の指摘を行わず再提出ごとに小出しに行う」等々でした。
 おそらく多くの皆さんが,こうした意見にご賛同されるかもしれません。そこで私が「精神保健福祉論I?II」のレポートを評価するにあたりポイントとしている点と課題集の若干の補足を以下に述べさせていただきます。

1)レポートの字数について

 レポートの論述量について,『学習の手引き2008』p.147には「最低限1,000字以上は記入……」と記されていますが,本科目では本文が1,900字以上の記述を求めます。

2)引用?参考文献の表記について

 引用?参考文献の表記にはさまざまな方法があり,『学習の手引き2008』p.143?145に具体的に記載されていますが,本科目における引用?参考文献の表記は下記の方法に従ってください。

(1)引用した文献?資料等の表記

 「引用」とは,誰かがすでに述べた考えや解釈をそのままの表現で転用することです。引用した部分を「 」でくくり,「 」の末尾に(1)等の引用文献の番号を記載する方法を用いてください(例1参照)。引用を行う場合は,それが文献?資料等のどの部分から抜き出したものなのかページ数を必ず明記してください(例2参照)。

例1 ?とあり,倫理綱領(1988年)における自己決定の原則は「最大限に尊重するという含みから相対的な権利であること」(1)が指摘されている。

例2 引用文献
 (1) 日本精神保健福祉士養成校協会編集『精神保健福祉論(第4版)』中央法規,2008年,p.43
 (2) 同上 p.57
    …
 (5) 前掲(1)p.102 ← (1)で一度挙げた文献を,間を空けて再度記す場合の表記方法。

(2)参考にした文献?資料等の表記

 文献や資料を読み,その内容を元にして自身の表現で整理することを,要約と言います(例3?5参照)。要約を行った場合は,参考文献として典拠を本文の末尾に提示してください(例6参照)。

例3 ?である。蜂矢は,精神障害者は病人としてのみ扱われ,生活障害にたいする施策が皆無であったことから,上田敏の障害構造モデルを手がかりにして精神障害においては疾病と障害が共存することを提起した

◆上記例3の下線部(直線と点線)は,それぞれ別の文献から転用した部分です。厳密には「引用」であり,例4のように記述していただく必要がありますが,本科目のレポートにおいては,この程度の“切り貼り表現”は,要約として例3の表記(下線部は不用)を認めることとします。例3をさらに自身の表現で整理した要約例が例5になります。
 例3でも構いませんが,できれば例5の表記を目指してください。

例4 ?である。「精神障害者は病人としてのみ扱われ,生活障害にたいする施策が皆無であった」(5)ことから,「蜂矢は上田敏の障害構造モデルを手がかりにして精神障害においては疾病と障害が共存することを提起した」(6)。

例5 ?である。精神障害者は施策の対象としては病人としてのみで,治療中あるいは治療後の“生活のしづらさ”への公的支援は未整備であった。これにたいし蜂矢は,上田敏の“障害構造モデル”を基に,精神障害では“疾病”と“障害”が共存することを明確にし,その両方への対応の必要性を提起した。

例6 参考文献
  (1) 日本精神保健福祉士養成校協会編『精神保健福祉論(第4版)』中央法規,2008年
  (2) 相澤譲治?篠原由利子編『精神保健福祉論』久美,2002年

3)アドバイス?解説の補足

 「精神保健福祉論I」の「1単位め解説」にあるICF?蜂矢理論について,ICFは「国際生活機能分類」としてテキストp.43?45(2006年度以前のテキストp.41?43),蜂矢理論はテキストp.46(2006年度以前のテキストp.43?44)にそれぞれ説明されています。
 「精神保健福祉論II」の「1単位めの解説」にある自己決定?エンパワメント?権利擁護については,「精神保健福祉援助技術総論」を受講されている方は,当科目のテキストp.100?103(2006年度のテキストp.72?76)に詳しく説明されています。
 「精神保健福祉論II」の「2単位め」は市町村で発行しているパンフレットの紹介に終わらず,実際の現場を見学?体験されることを有効な方法としてお勧めします。

4)レポート作成にあたって留意していただきたいこと

(1)考察について
 「精神保健福祉論I」の2単位め,「精神保健福祉論II」の1?2単位めは,ご自身の「考察」を書いていただくことが必須となっています。「考察」は『学習の手引き2008』p.142の「よりよいレポートを書く」の趣旨に基づき500字から600字位でまとめてください。
 その方法は,実社会における具体的な例などを想定し,それと関連づけながらまとめたり,実践事例の読み込みをして,それに対する感想を述べると宜しいです。

(2)引用?参考文献の出典表記について
 引用?参考文献の出典表記は,できるだけ1単位につき2,192字の字数の中で行ってください。あまり引用が多くなると,レポート本文の字数(1,900字以上)が足りなくなります。また,意味のない引用は好ましくありません。安易に引用するのではなく,要約を心がけてください。

※訂正

 8月27日付で「精神保健福祉論I?II」の受講生にお送りした文書には,「字数を超えた場合の別用紙の添付は認めない」旨の記載がありましたが,レポート本文1,900字以上の字数制限に鑑み,「引用?参考文献」の出典表記に限り,別用紙の添付の有無については特に問わないこととします。

 私はレポート学習を「担当教員との対話」として捉え,対話による「気づき」や「新たな課題の発見」を通して学習が深められていくと考えています。しかし,学生の皆さんにとって,それが学習の断念を考えるまでの苦しみとなり,不利益となることは本意ではありません。そこで今回,レポート評価のポイントを示し,レポート課題で説明が不十分な部分や表現が曖昧なところをできるだけ無くすよう解説いたしました。今後,再提出の場合の講評は,皆さんの戸惑いや混乱をきたさないよう,できるだけ具体的に指摘するよう配慮いたします。講評のコメント内容が良くお分かりになれない時は,どうぞご遠慮なく「質問票」で聞いてください。また,レポートのやり取りはできるだけ少なくし,かつ学習効果を最大限にすることを皆さんと一緒に目指したいと考えます。ただし,課題内容について「見るべきところ」「指摘すべきところ」はしっかりと見させていただきますので十分に学習を行ってください。
 皆さんのレポートを楽しみにしていますとともに,学習がより深まりますことを心から願っています。

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