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VOL.23 NOVEMBER 2004

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[OB MESSAGE]
医療機関で働くソーシャルワーカーとして

財団法人太田綜合病院 附属太田西ノ内病院 医療社会福祉部(社会福祉士)
安田 洋子

◆学生時代

 私が大学4年生となった昭和48(1973)年,日本はオイルショックの影響で就職難の時代でした。医療機関のソーシャルワーカーを目指していましたが,病院ばかりか福祉職自体の求人が少ない状況に,半ばあきらめかけていました。そんな時,福島県郡山市の太田綜合病院でソーシャルワーカーを募集しているとの情報を聞き,採用試験を受けてなんとか就職することができました。病院のソーシャルワーカーとして,今年で勤続30年となりました。

◆ソーシャルワーカーの働く職場

 財団法人太田綜合病院には3つの病院と1つの介護老人保健施設があり,検診などの予防医学から第三次救命救急センターの救急医療,高度医療,リハビリテーション医療,医療?介護型療養病床,在宅ケアを行っており,介護老人保健施設,居宅介護支援事業所,通所リハビリテーション,訪問リハビリテーション,訪問介護?訪問看護ステーション,在宅介護支援センターも併設しています。
 また,関連する福祉法人では2つの介護老人福祉施設と通所介護,ケアハウスを運営しています。
 ソーシャルワーカーは病院に10名,介護老人保健施設に2名,在宅介護支援センターに2名,居宅介護支援事業所に3名,合計17名が働いております。それぞれの職場により目的や対象者の違いはありますが,業務の基本はソーシャルワークであり,ソーシャルワーカーとしての自覚をもって日々の業務を行っています。
 また現在,当財団のソーシャルワーカー採用の条件として,「社会福祉士資格を有する者,またはその受験資格を有する者」となっています。

◆社会福祉士資格をとろう

 昭和62(1987)年に社会福祉士の国家資格が法制化されましたが,医療ソーシャルワーカーは社会福祉の専門職であるにもかかわらず,医療機関に配置されていることで,社会福祉士資格に組み込まれませんでした。さらに平成9(1997)年には精神保健福祉士資格が法制化し,ソーシャルワーカーの国家資格が分かれてしまいました。
 日々,病気や障害により生じた様々な生活課題をかかえた患者さんに接して,課題解決のための支援をする業務を行うなかで,社会福祉専門職として社会福祉士の資格をとろうと決心し,受験資格を得るために通信教育を始めました。46歳の下降線をたどる記憶力に閉口しながらも,かつて東北福祉大学で学んだカリキュラムを,経験を踏まえて再学習することは有意義でした。
 社会福祉士の資格を取得したことで,医療機関で働く社会福祉士という私なりの自覚を持ってソーシャルワーク業務を行えるようになりました。

◆介護保険がはじまる

 平成12年4月介護保険がスタートしました。前年には介護支援専門員の資格を取得し,当財団が立ち上げた4つの居宅介護支援事業所のうち3カ所の所長にソーシャルワーカーが配置され,私もそのなかの1人でした。あわただしくスタートした介護保険制度に現場は試行錯誤の毎日で,家庭訪問,ケアプラン作成,サービス調整,モニタリング,月末には翌月のサービス計画作成,家庭訪問,月初めには前月の給付管理業務と,寝食を忘れて(?)働きました。遅い帰宅に協力的だった家族にも不満の色が……。何のために一生懸命働いているのかと燃え尽きそうになったこともありました。
 しかし大変なことばかりではなく,病院から地域へ出て高齢者のご自宅を訪問し,人生の先輩の方々に接して,多くのことを学ばせていただきました。加齢とともに傷病,障害となり自分で自分のことが思うようにできない辛さ,老いることのむずかしさを受け止めて精一杯がんばる方。家族との軋轢をかかえながらも明るく生きようと努める方々。介護支援専門員としての3年間はソーシャルワーカーとしても貴重な財産になりました。

◆ふたたび医療機関のソーシャルワーカーへ

 平成15(2003)年4月,急性期,高度医療を行う現在の病院へ配置替えとなりました。3年間介護保険業務に専念していた私にとって,急性期病院のテンポはめまぐるしいものでした。
 太田西ノ内病院は入院1,144ベッド,外来患者さんが1日平均1,500人,赤ちゃんから高齢者までの幅広い年齢層や傷病に対応するための様々な社会資源の情報提供,利用方法援助,地域の関係機関とのネットワークづくり,3年間の変化に追いつくまでが大変でした。
 しかし,ソーシャルワークの基本は変わりなく,相談室を訪れる患者さんの話に傾聴し,課題を明らかにするなかで,患者さんの自己決定を尊重しつつ,援助の目標や手段を設定し側面から解決を支援することは,働く場が変わっても同じです。
 呼吸器を装着しながら自宅へ帰るお子さんへ在宅ケアのネットワークづくりを支援したり,経済問題を抱えて心臓手術を渋る患者さんへ,様々な社会資源を利用して手術を受けられるよう支援するなど,課題解決の過程を通じて患者さんや関係職種と連携,共感しあえることで,ソーシャルワーカー自身もエネルギーをもらって明日につながることができます。
 現在の職場にはソーシャルワーカーが7名おり,併設の居宅介護支援事業所に中堅ワーカーが1名のほかは2年目が3人,1年目が2人です。私とは親子ほど年齢が離れており組織上は上司と部下で,経験や技術の差はあるものの,患者さんや他職種からすると,ソーシャルワーカーとしての働きは同等だと見られます。少人数ながら,医療機関の中に社会福祉専門職が置かれている意味の深さ,医療と福祉をつなぐ役割をしっかり受け止めた仕事を目指したいと思っております。

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