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VOL.23 NOVEMBER 2004

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【シリーズ?現場実習】

特別養護老人ホームで介護実習をして

総合福祉学部 社会福祉学科(通信教育部
M.S.さん

 この夏,高等学校福祉科教諭免許状に必要な「介護実習」を受講された方々は,本学?通信教育部としては,初の実習生でした。
 教職用の「介護実習」は,高校生に福祉科を教えるために,福祉現場(利用者?スタッフ?施設の現場)を知り,介護技術を身につける,というものです(「社会福祉援助技術現場実習」とは,実習の趣旨が異なります)。受講された横浜市在住のM.S.さんにお話しをお伺いいたしました。

Q 実習先は,すでにご存知の施設でしたか。
A 私の実家のすぐ近くの施設(徒歩3分)なので,特別養護老人ホームがあることは知っていました。そのため,大学の入学時には,実習をすることになったらここにお願いしようという第一候補にしていました。社会福祉協議会には,この施設での実習は可能でしょうかという形で具体的に相談をしたら,「直接相談されて結構です」ということでした。
 いきなり施設にお願いすることも考えたのですが,とりあえず社会福祉協議会に相談することにしました。地域にもよりますが,そのほうが自然なところもあるようです。

Q 実習前に,実習先に事前訪問はしましたか。
A 施設にはまず,3月末に実習の依頼を電話で簡単にしてから,実際にお願いに伺いました。以前から実習を受け入れている実績があるので話は簡単に進み,快く受け入れてもらうことができました。このときに実習の時期の要望をだしました。
 実際の実習は7月下旬からでしたが,6月末に具体的打ち合わせの事前訪問を行いました。実習の具体的日程はここで決めましたが,休日の要望がある場合は事前にはっきりと伝えておくのがよいと思います(私も仕事の都合上,途中で実習ができない日がありましたが,はやめにお願いしたのでスムーズに日程調整ができました)。
 また,「実習について」という簡単なプリントをもらい,初日の集合場所の確認とか,健康診断書の様式の確認をしました。健康診断の様式は施設それぞれ違うようなので,事前に確認したほうがよいと思います。打ち合わせの際に必要な検査項目を聞き,7月上旬に保健福祉センター(保健所)で診断を受けました。細菌検査でしたが,結果がでるまで半月かかりました。

Q 実習前は,どんな準備をしましたか。
A スタッフも利用者も,まったく知っている方がいらっしゃらなかったので,事前に介護実習の本や事前指導のプリントを何回か読みました。6月の事前指導では,ベッドメーキングを中心に実習しましたので,できるかな?と思っていましたが,実際にはベッドメーキングは実習では一度もしませんでした。

Q 実習に行かれた,特別養護老人ホームの現状はいかがでしたか。
A 私の実習した施設は,開発時期が比較的早かった横浜市郊外のベッドタウンにあり,高齢者の人口が急激に増加している地域にあります。できて10年余りの施設ながら,地元での評判はよく,入所希望者が1,000人近くになっているそうです。最低でも3年は待機という現状で,グループホームやデイサービスにも力を入れているが,地域のニーズに対して,十分に応えることができない状態が続いています。また,介護保険制度がスタートしてからは,要介護度が高い利用者が中心になり,より多くの人手がかかるようになった,ということです。
 高齢者施設のしごとは大変と聞いていたのですが,スタッフの方々が利用者の方々に温かく接していたこともあり,気持ちよく12日間の実習を過ごすことができました。

Q 利用者とのコミュニケーションは,とれましたか。
A 実習では,痴呆,寝たきり,デイサービスの各フロアを4日ずつ実習しました。
 痴呆の方々とは,いろいろな話ができたと自分では思っていましたが,しかし,実際には深い話題にはならず,挨拶程度の表面的なことに終わってしまった感じです。痴呆の方々との話しでは,このようになるのかな,と思っています。
 デイサービスでは,レクリエーションをいっしょに行うことなどを通じて,いろいろな話しをすることができました。ただ,デイサービス利用者は週1回が基本で,続けて接することができず,毎日名前を覚えて,一般的な話しをするにとどまってしまいました。
 寝たきりの方々とは,各部屋に分かれていることもあり,実際の仕事が忙しく,あまりコミュニケーションがとれませんでした。水分補給や食事の際に,もっと積極的に話しをすべきだと反省しています。

Q 利用者に対しての介護の実際は,いかがでしたか。
A 具体的な介護の実習としては,下記のようなことを行いました。
(1)水分補給  コップや吸い口を利用した介助,とろみをつけスプーンを使っての介助など。午前中に多く行いました。
(2)移動介助  自立歩行ができるが転倒の危険がある利用者を手引きしての歩行介助や,車イスを押しての介助。事故が多いということで,ベッドから車イスへの移動やその逆はありませんでした。
(3)食事介助  自分で食べることができない利用者にスプーンを使っての食事介助が中心でした。何が食べたいのか,スピードは適当かということに注意を払いましたが,担当する利用者が毎日変わり,工夫して次に活かすことができませんでした。
(4)排泄介助  スタッフの方と組になり,主に寝たきりの利用者のおむつ交換をしました。実際に行ったのは,硬直の少ない(動きの悪い部分が少ない)利用者で,強い硬直がある利用者の場合は,見学や支えの介助をしました。
(5)入浴介助  寝たきりの利用のための機械浴,座ることのできる利用者のための一般浴の両方の実習ができました。真夏の実習ということもあり,自分のTシャツがしぼれるぐらいになり,体力勝負を痛感しました。着脱中心の外介助の担当をする機会はありませんでした。
(6)レクリエーション介助  デイサービスの4日間は,バスケット,スイカ割り,そうめん流しの手伝いをしました。利用者とのコミュニケーションにとてもプラスになりました。
 以上のような利用者と直接かかわる内容以外にも,コップ洗いやおしぼり,飲み物の用意など,利用者と接する以外にもさまざまな仕事があることがよくわかりました。また,朝夕のミーティングに参加して,引継ぎの365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@性もよく理解できました。

Q 実習を行って,どんなことを感じられましたか。
A いちばんの収穫は,高齢者と身近に接することにより,施設でのようすがじかに伝わってきたことです。テキストの学習では,痴呆や寝たきりということが言葉の上では理解できたと思っても,利用者の様子はみな違い,頭だけの理解ではすぐには役立たないということを実感しました。
 また,施設の方々と直接話をすることにより,現在の介護?福祉の問題点を現場サイドで聞けたことも印象に残っています。

 ありがとうございました。

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