学習の手引き -2012~2016-
平成24年~平成28年度入学者用
ようこそ学びの世界へ
[社会福祉学科] これから社会福祉学を学ばれるみなさんへ
社会福祉学科長 三浦 剛
通信教育部に入学されるみなさんの多くは,「資格」の取得をめざしていることと思います。しかし,私はみなさんを資格取得のために学んでいる人とは考えていません。「社会福祉学」を学ぶ人と考えています。
社会福祉学はまだ新しい学問領域であり,19世紀後半の資本主義社会によって引き起こされる「貧困」という社会病理に対する人道主義的な諸活動から生まれた行為,その実践を理論化,体系化することにより確立してきました。人道主義的な活動は,宗教的な背景を持ち「困っている人に手をさしのべる」というイメージが強いのですが,それだけではなくセツルメント活動に見られるように,地域を変えていこう,社会を変えていこうとする「社会改良」の活動も後のソーシャルワークとして365体育投注_365体育备用网址-【唯一授权牌照】@な位置を占めています。このたび改訂された国際ソーシャルワーカー連盟の「グローバル定義」と呼ばれる新定義も,この社会改良をめざす「開発機能」に重点が置かれたものになりました。
社会福祉学とは人と環境の交互作用に視点を置き,環境(社会)の変革と人々のエンパワメント(主体性や自発性を取り戻すことと言ってよいでしょう)を進めることを科学的に理論化,体系化していく学問です。そのことが必ずしも「社会福祉士」や「精神保健福祉士」という資格をもって実践をおこなうことと同じではないことに注意して欲しいと私は思います。たとえば社会福祉学では,常に現代社会の問題に視点を置きます。そのためには社会を正確に分析する「力」が必要とされ,また,そこで生活する人を,そして社会と人の交互作用を分析する「力」を学ぶことになります。これらはアセスメント力ということもできるでしょう。
同時に,人を理解したり,人に対して「支援」をおこなうためには,人とコミュニケーションする力が必要です。事実をありのままに見ること(受容)と,そのことによって得られた共感をもとにかかわり(交流)を重ね,支援していく力を学ぶこともまた,社会福祉学の学習で身につけることができるものであり,これらは社会福祉領域以外の,たとえば行政や企業活動でも必要とされてきています。社会福祉学を学び,資格を取得し社会福祉分野での専門職として活躍するもよし,企業においてアセスメント力と支援力をもって活躍するもよし,みなさんの前には社会福祉領域だけにとらわれない,広い世界が待っています。従来の社会福祉の枠からはみだして,その広い世界に羽ばたく人がたくさん出てくることを期待しています。